らくだはお気楽
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085:きざし より

出会いとは別れのきざし別れとは出会いの萌芽 水めぐりゆく
五十嵐きよみ (99本の薔薇の花束)  

孤独からうまれる決意 決意からうまれる孤独 星降るきざし
花夢 (花夢)  

 今回はちょっと変わったコラボ。
 作りはいわゆるニワトリの卵(おぃ^^;なわけですが、結句のセンスがすべてを決める。
 五十嵐さんの歌「水めぐりゆく」は、川の流れに喩えるのとはちょっとちがって(結局は同じことになるんだけど)水の循環のように永遠にループすると詠っている。深読みすれば輪廻転生まで^^;
 花夢さんの歌「星降るきざし」は、やや抽象的で吉兆なのか凶兆なのか分からない。けど、星からの連想で宇宙のスケールまで広げると、星の誕生と死のような読みもできる。(ちょっとこじつけっぽいですが^^;

 五七調は結句までの五七五七は案外ハマりやすい気がする。もちろん、説得力のある正逆を置くことが前提だけど、最後に読者が、結句でストンと腑に落ちるかどうか。
 
 ……私は作らんとこう^^;

2010/10/22  | trackback(0) | comment(2)


084:退屈 より

 今回はコラボ。

そうやってひとのあくびは責めるのにわたしの話、退屈ですか
夏瀬佐知子 (夏瀬佐知子の小説のつもり日記)  

 うっかりあくびして男に叱られてから気を付けているのに、相手の男(決めつけてますが^^;)は無神経にも「わたし」の前でさも退屈そうにあくびする。この歌は心の声であって、声に出しては言えない性格(あるいは立場、あるいは関係)なんだろう。
 
退屈に目鼻口髭おまへさま悟らせぬやう欠伸を殺す
夜さり (夕さり夜さり)  

 一方、こちらはなかなか図太い^^;
 絵に描いたような、というが、退屈に目鼻をつけたのが「おまへさま」らしい。それでも欠伸をかみ殺す程度の礼儀はまだ残っている、と。
 もうね、倦怠期を過ぎた夫婦そのものやねぇ。そして亭主の方がダメおやじ^^;

 えー、なんか、使用前・使用後みたいな「おんな二態」となりました^^;(おいっ

2010/10/22  | trackback(0) | comment(0)


083:筒 より

もう100歩電信柱遠くなれ初めて触れた君の水筒
ワンコ山田 (歩道を走る自転車のこども)  

 可愛いなぁ。
 じゃんけんで負けた子が次の電柱まで荷物を持つ、学校帰りの遊び。結構みんなやったんだなぁ。今はどうなんだろう?
 大好きな男の子の、持ち物にすらろくに触れられないくらいウブな、初恋と言っていいかどうかぐらいの頃。ラッキーにも?荷物持ちになって「初めて触れた君の水筒」をもうちょっと持っていたい。「時間よ止まれ」でなく、「電信柱遠くなれ」という無邪気さがいい。
 ああ、あなたにもわたしにもこういう時があったのだ!
 忘れていない(あるいは思い出せる)ワンコさんはステキだ。
 
 余談だが、考えてみるとこれ、子ども世界のギャンブルだよね。ちゃんと子どもは子どもなりの方法で学習するようになっているんだなぁ。

2010/10/21  | trackback(0) | comment(0)


082:サイレン より

サイレント・マジョリティーのわたし 物言はぬ大衆と生まれ死にゆくひとり
夜さり (夕さり夜さり)

 「わたし」はこの場合作者と考えて差し支えないと思うが、死ぬまで発言する少数派にはならない宣言、の歌である。ただし、「物言はぬ大衆」ではあるが自分の意見は持っているぞ、ということだろう。
 いつでもこういう表明が出来る者である、ということが「サイレント・マジョリティー」の「サイレント・マジョリティー」たる所以なのね。

2010/10/21  | trackback(0) | comment(0)


081:露 より

露時雨わけて草生を濡れてゆく「白玉か何ぞ」遠つより降る
夜さり (夕さり夜さり)

しっとりと渋い景色、言葉えらび、更に引用まで、たいへん大人なこの歌を。
 
「白玉か何ぞ」、これは分かる。(え?
岡野玲子女史に言わせれば「マメ男君」(^^;)の在原業平ですね。

露時雨: 露が一面におりて時雨にぬれたようになること。また、草木においた露が、時雨の降りかかるようにこぼれること。(秋の季語)
草生: (くさふ) くさはら      以上 「大辞泉」より


調べないと分からないなんて情けない……とほほ^^;
精進しませう。

2010/10/21  | trackback(0) | comment(0)


080:富士 より


赤富士の赤にも似たる色持ちて朝晴れの富士吃立したり

西中眞二郎  (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)

赤富士 きじとら猫さんの「ええじゃないか」と迷ったが、日本人なら違わず思い浮かべるこの美しさをいただきます。
 「赤富士」でこの版画がすぐ浮かび、その色をした朝まだきの富士山といえば、見たことなくても想像に難くない。もちろんわたしも見たことはないが、もう、ぜったい美しいことは疑う余地なし。

 今は便利ですね、ググればすぐ見つかる。
 たとえばこれ ⇒ 赤富士
 ほんとに真っ赤ね。
 もし富士山がなかったら、日本人の気質のようなものも違ったものになっていたかもしれんね。

2010/10/19  | trackback(0) | comment(0)


079:塔 より

空っぽの頭ん中で黙々と紫煙に燻される辺塔子(ペンターツ)
みにごん (MINI'S LIFE blog)

 うわぁ、めずらしいギャンブル歌(おいっ^^;
 ふりがなになじみがなくて調べてみて分かった。情けな~^^; (私はペンチャンと教わったもんで)
 いやぁ、詩的センスのないわたしが作るのとは雲泥の差!
 ペンチャン待ってますが来ませんのね。待つか捨てるか悩むところ――というころにロン牌になるんだなこれが。
 うーん、「空っぽの頭」だとうっかり放銃しそう。
 ツキは必ずやって来るから投げないで耐えるのだ。

2010/10/19  | trackback(0) | comment(0)


078:経 より

盛大にモーツァルトを鳴らしつつ歯科医はひよいと神経を抜く
村本希理子 (きりころじっく2)  

 結構好き度の高かったお題ですが、一首選はこの歌。
 歯医者は昔とだいぶ変わったようで。私もここ何年か治療のため通ったが、確かにクラシックとか癒し系の曲(なんての?ヒーリング?)がかかっていた。ただ、「盛大に」ではなくて静か~に、だったけど。
 神経を抜いた経験のある人に聞いたことがあるが、その瞬間からだがひぇっという感じで震えたそうな。この歌の「ひよいと」という措辞でふとそのことを思い出した。
 医者は毎度のことだからどーってことないのよね。そんな、いい意味の適当さが感じられて好き。

2010/10/12  | trackback(0) | comment(0)


077:写真 より

出会わなくなった未来に礼をして証明写真の残りをしまう
百田きりん (きりんメモ)  

 これはもう、就職先が見つかったということね。
 おめでとうございます。
 
 「出会わなくなった未来」という言い方がとても好き。しかも礼をするほどの謙虚さ。
 あの時別の何かを選んでいたら今頃は……という可能性がいつだってたくさんあって、でも選べるものはひとつだけなわけで。
 何枚も履歴書書いて何度も撃沈するとだんだん荒んでいくんじゃないかと思うが、そういう感じはしなくて、明るい未来への希望、という印象を受けた。
 縁があった職場と仕事、本当に明るい未来でありますように。

2010/10/12  | trackback(0) | comment(0)


076:まぶた より


銃声ひとつ夜に流れて指先でまぶたにのせる銀色の粉
ひぐらしひなつ (エデンの廃園)  

 このお題は難題だったのかも。お気楽選歌もばっさばっさと切り捨てて、さて残った歌は、どれも微妙に解釈が難しい^^;
 その中で、一首選はこの歌。
 難しい歌というわけではないが、「銀色の粉」が何か分からない。
 銃声のあとにアイシャドウが出てくるワケもなく。
 という流れから、吸血鬼と銀の弾丸という連想をしたんですが。
 無理くり解釈すると、銀の弾丸を打ち込んで倒した吸血鬼の目を閉じさせたとき、指に残った弾丸の銀粉がまぶたに付いた、なんだけど、はて、弾丸てそんなに粉吹いてるかしらん?
 うーむ。
 倒れたのは女で撃ったのは男(そして愛していた)、死化粧としてまぶたに銀の粉をのせた(だって吸血鬼は銀が嫌いだから)、ってのは?だめ?
 
 ま、いいか。言葉の流れのうつくしさと退廃的なムードにやられたわけだから。(おいっ^^;

2010/10/12  | trackback(0) | comment(0)


075:鳥 より

鳥になるつもりで育ててきた羽の用途が未だ見つかりません
ぱぴこ (テクテク)

 暗喩は苦手なお気楽堂ですが^^;
 羽を育てて鳥になる、というのはいいなぁ。私も育てたい。
 用途が見つからないのは鳥になるつもりがなくなったということだろうか。
 いや。「鳥になる」と「羽」が何の喩えかは置いといて(そこが重要なのにっ!)、育てているうちに鳥にはなれないことが分かってしまった、だからもう使い道のない羽をどうすればいいか分からない、のだろう。
 で、この状況に見合う「鳥」と「羽」は各自考える、ということで、今回はお開き。(おいっ
 だってなんだか、現実社会のなにかに置き換えると、この歌のかろやかさが台無しなんだもん。

2010/10/07  | trackback(0) | comment(0)


074:英語 より

ひらかなで「あなた」と思う人がいて英語の「You」じゃ思い出せない
青野ことり (こ と り の ( 目 )) (現在 「ことりごと」) 

 英語にすると微妙に違うものになる日本語の言葉、ということを多くの人が詠っていて、その中で一番端的と思ったこの歌を一首選に。
 あなたもおまえもきみもてめぇもみんな 「you」 っちゃ、ちがうやろ!ってことで^^;
 さらに、せつない思いが「あなた」からはちゃんと感じられる、ところがいい。
 
 ああ、日本語っていいなぁ。
 

2010/10/07  | trackback(0) | comment(2)


073:像 より

ひとはひと 卵は卵 想像が大きすぎると割れてしまうよ
百田きりん (きりんメモ)

 うーん、難しいぞ。
 メルヘンのような詠い方だが厳しいような。
 卵は割れるがひとは割れない、と思うのは常識に凝り固まった頭であって、「想像が大きすぎると割れてしまう」のがひとだ、ということか。
 卵は割れるが、想像が大きすぎることは有り得なくて、きっちり雛が孵る。
 ひとは、でも、きっちり雛が孵るようなあり方では、多分なんも面白くない気がする。
 大きすぎない想像、というのはなんだろう、身の丈に合った希望とか?無謀でない夢とか?
 「割れてしまう」というのは、幻滅するとか絶望するとか、そんなふうなことを言っているんじゃないだろうか。
 でも、と敢えて言ってみる。
 ひとは「想像が大きすぎる」ことも有り得なくて、どれほど大きくてもほんとうは大丈夫なんだ、と。
 とは言え。
 割れる心配をするほど大きな想像(≒夢)というのも、案外簡単にはできないかも。
 

2010/09/23  | trackback(0) | comment(0)


072:リモコン より

リモコンの突起をぷにゆ、と押さふればぷにゆと震へて替はるチャンネル
大辻隆弘 (大辻隆弘 題詠100首のために)

 「ぷにゆ」にやられました^^;
 旧仮名遣いで「ゅ」が大きくなっているのが、なんかマヌケで可笑しい。
 「ぷにゆと震へて」チャンネルを替えるのも可笑しい。
 多分テレビだろうと思いつつ読んだが、震えるんならラジオでも面白いなぁ。でもラジオのリモコンて聞かないから、やっぱりテレビだろう。
 リモコン押したときのチャンネルの替わり方ってどんなだったか?はた、と考えた。
 「ぶつっ」とか「ぶちっ」とか「ぷちっ」とか、そんな音があるようなないような。でもぜったい「ぷにゆ」じゃない。しかも震えないし^^; 画面が一瞬消えて切り替わるのを「震へて」と捉えたのかもしれない。でも、それじゃなんとなく「ぷにゆ」って感じがしないしつまらない。
 
 「ぷにゆ」に似つかわしい可笑しさで読むほうがぜったい面白い。

2010/09/23  | trackback(0) | comment(0)


071:鉄 より

感傷と私をむすぶ鉄道に冬のあなたが身を横たえる
笹井宏之 (【温帯空虚】)

 美しい物語みたい。
 先ず一番に思ったのはなぜ「冬」なのか、ということ。
 「感傷」といえば秋思、と単純に思い浮かべてしまったが、「冬のあなた」を越えて行く先は春というのが自然だから春愁か。
 「冬のあなた」を越えて行かない限り「私」は永遠に冬から出られない。「冬のあなた」は確信犯なのだ。春の愁いに行きつく鉄道に乗ると「冬のあなた」を轢いて行くことになる。「私」は「感傷」にたどり着きたいのだろうか?
 いったいに、「あなた」を踏みしだいて行くから「感傷」なのではないのか?原因と結果が逆の、だまし絵のような錯覚を覚える。

 何度も読み返すうち、別の物語が立ち上がってきた。
 「私」は「感傷」を目指しているのだが「冬のあなた」がそれを身を持って阻止しようとしているのだ。「冬のあなた」は「私」が「感傷」へ向かってはいけないと思っている。
 そして、「私」にとって「冬のあなた」を轢いて行くことなど有り得ない。
 
 更に読み返すうち、すべての物語が消えて、鉄道を静かに覆っていく雪が見えてきた。
 雪がすべてを覆い隠して真っ白にしていく。「感傷と私をむすぶ鉄道」ももう見えない。
 雪景色の歌、と言ってしまえば身も蓋もないが、雪景色をこんな風に詠める人もそうそういないと思う。
 雪だから「冬」でなくてはならなかったんだなぁと納得した。
 
 たった三十一文字の詩のちからを、たっぷり堪能した。

2010/09/19  | trackback(0) | comment(0)


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