らくだはお気楽
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009:会話 より

四時までの会話と短いレシートを斜めに折って財布に入れる
水野加奈 (水の中)

 具体的な割には、四時までの会話というのが、主人公にとっていい話なのか悪い話なのか、曖昧である。 ただ、「短いレシート」ということは食事じゃないし、飲み物一品ずつということで、ケーキの類もなしなのだろうから、笑いのある会話や、わくわく・どきどきではないと想像できる。レシートを財布に入れるということは主人公が会計をしたわけで、斜めに折るという動作はどこか「苦々しい気持ち」が感じられる。
 およそ1~2時間の中で交わした会話もレシート並みに短かったのかも知れない。食事でもなくデザートもない会話。お互いうつむき加減で……ってもう別れ話しかないじゃないか?
 いや、ラブラブの二人が飲み物一杯で山盛り話し込んでやっと腰を上げた、のでもいっこうに構わないんだが、この歌にはそういう幸せ感が微塵も感じられないので、やっぱり別れ話なのだ。
 で、主人公は一応、その愛想のない会話も一緒に財布に入れるんだよね。……つまり、振られた、のかな。

以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬称略


西中眞二郎 (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)
他愛なき会にはあれど思惑を秘めたるらしき会話も聞こゆ

大辻隆弘 (大辻隆弘 題詠100首のために)
かくやくと夏の会話を交はしあひせせらぎ暗き渓も越えにき

新井蜜 (暗黒星雲)
向きあって試してみたが目と目では会話にならず笑いころげる

中村成志 (はいほー通信 短歌編)
目の前のわたしではなく右脇のシュガーポッドと会話している

こはく (プラシーボ)
うなずいて青空を見るあなたとの会話しなびて散りそうだから

川鉄ネオン (今週の俺が俺が)
しらじらと途切れた会話の真ん中に月がしんしんしんしんと降る

花夢 (花夢)
会話とも呼べないような沈黙に光が射してすこしねむくて

やすたけまり (すぎな野原をあるいてゆけば)
かぎかっこかならずとじて教科書の会話みたいに句点でおわる

村本希理子 (きりころじっく2)
キッチンの蛇口と会話する夫を見つけてしまふ わたしが悪い

流水 (流水(るすい)の短歌Caf'e)
水割りの氷崩れてうたた寝に雨と風との会話を聞けり

やや (言の葉たち)
ちぐはぐな会話がひびく縁側に認知の糸のさきっぽを見る

ジテンふみお (雲のない日は)
残業でハイになったら10時頃フォークリフトと会話してます

みち。 (暴走シンドローム。)
どうでもいい会話がほしい ある程度ことばで埋まるさみしさだから

兎六 (一人暮らしの日記)
会話にもヒトにも飢えて比喩的にピザのチラシへ電話をかける

八朔 (I am still here.)
なけなしの夢を切り売りするように見栄をはり合う会話が好きだ

2009/08/23  | trackback(0) | comment(6)


Comment

颯爽と50首駆け抜けてる上に、
こつこつと鑑賞も続けられて脱帽です。

取り上げられた作品は、ドラマのような一場面が切り取られた作品ですね。
とは言え、会話を財布のなかに入れるので、比喩のような心象風景として捉えたのですが、
お気楽堂さんの鑑賞文により、短歌が詠まれた背景が立体的に浮かび上がってきて、作品世界が深まった気がしました。
面白いですね。

これからもお気楽堂さんの走りを楽しみにしています。
花夢 URL | 2009.08.24 | edit?
花夢さん、いつもありがとうございます。
たぶん、「比喩のような心象風景」で間違っていないと思いますよ。
私みたいに勝手にあれこれ想像をたくましくしすぎると、歌の世界から遠のくこともあるかもしれません^^;ほんと、好き勝手に読んでます。でもこれが楽しくて。
今年のマラソンもそろそろスパートかけないとヤバくなって来ました。まずは花夢さんに追いつかないと。
お気楽堂 URL | 2009.08.25 | edit?
 こんばんは。
 また、短歌から離れていたので久しぶりにお邪魔しています。(エンジンをあたためている感じ)
 拙作、たびたび取り上げていただいて、なんだか申し訳ないくらいです。ありがとうございます。

 せっかく取り上げていただいたので、質問させてくださいー。
 私の句、実際は何をしたのか、分かりますか?
 改めて見ると、ちゃんと伝わったのかどうか、気になって木になって。
兎六 URL | 2009.09.02 | edit?
えーと、会話の歌のことですよね?
えー……「実際」ピザの注文をしたという風に読んだ^^;
やっぱりちがうのか。
「比喩的に」の捉え方だと思うんですが、多分「ピザのチラシへ電話をかける」こと自体が比喩なんでしょうね。私は、「的に」の方に重きを置いて、自嘲的な意味としてピザの注文の電話をした、という風に読みました。日本語的にはそれじゃ比喩にもなんにもなっていないよねぇ。(←いまさら^^;)
上手く言えないけど、「会話にもヒトにも飢えて」の方に「比喩的」が懸かっている、というか。別に腹が減っている訳じゃないが、飢えている自分を満たすために衝動的に電話したのがピザのチラシで、結果、お腹を満たすことになった、という……
えー、頭がウニになり始めた……
女の身でピンクチラシに電話しちゃったとか。(だから電話自体が比喩だっつーの!)

というていたらくで、どうもすいません^^;(←相変わらずこれ)
ほんと、なんも分かってなくてごめんね。
お気楽堂 URL | 2009.09.02 | edit?
ありがとうございます。
会話の句です。言葉足らずですみません。

当初の、「実際」ピザを注文した、が意図したところでした。(チラシじゃなくてピザ屋だ、という屁理屈)
でも、『「会話にもヒトにも飢えて」の方に「比喩的」が懸かっている』という分析が確かにその通りで、「会話にもヒトにも飢えて」がさきにあって、自分でもすっかり忘れていたのですが、後半に何の解決にもならないことを書こうと思ってああなったのでした。
比喩になってないのに「比喩的に」って書くところには、やるべきことやりたいことをやっていないって感覚が。

ほんと、読み込んでもらってありがたい限りです。
兎六 URL | 2009.09.02 | edit?
あ、よかった!
私の読み方で受け取れていたのね。

>後半に何の解決にもならないことを書こうと思って

なんとなくね、そういう気分なんだろうなぁとおもったわけです。
だから、大丈夫。
100%意図を読み取るのは無理だと思っているので、気分というか雰囲気を読めればいいと思うんですよ。
そういう意味では、兎六さんはなんも心配することないのよん。
お気楽堂 URL | 2009.09.03 | edit?

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