楽歌三昧短歌題詠100首
082:整 より
category: ・ 2006 題読選り好み
背表紙の高さで本を整理した君しか知らぬ「坊ちゃん」の位置
ケビン・スタイン (In Other Words・別の言葉で)
「君」が、本なんてぜんぜん読まない人だから、ただ見た目でそろえただけだとしたら、整理した本人でも「坊ちゃん」の位置は分からないんじゃなかろうか。
でも、もしかしたらものすごく記憶力のいい人で、適当に置いてあるようで全部把握しているのかもしれない。この場合、他の人が勝手に触ると異常に腹を立てる可能性があるので、「君しか知らぬ」というのが切実になる。
まぁそれほど「坊ちゃん」を読みたがっているようには思えないし、日常のちょっとした話なんだけど、なんか意表を突かれた歌だった。
行方祐美 (やまとことのは)
整理できぬ冬の机を笑われて春はただいまスキップ中です
西中眞二郎 (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)
解体を控えし家を整理しつ壁傷つけるにためらいており
暮夜 宴 (青い蝶)
端整な顔立ちをしたアリクイに口説かれている春のうたた寝
ざぼん (グレイト・エスケイプ!)
整然と午後の授業も始まって私ひとりが泣きそうでした。
謎彦 (ジャポン玉)
けふは歌よまむ気もなく袂より荘園整理令とりいだす
五十嵐きよみ (ドン・ジョヴァンニはアリアを歌わない)
スペードのキングが髭を整えてあなたの部屋まで晩餐に来る
帯一 鐘信 (361℃)
整いは乱してくれとひっそりと暗闇で待つ旅館のふとん
なまねこ (路地裏稼業)
整えた指先の爪みじかくてゆうべのことなどなかったように
笹井宏之 (【些細】)
もともとはふたりはおなじ骨でした 整骨院に降る蝉時雨
振戸りく (夢のまた夢)
整数に正負があると知ってから預金通帳をひらいていない
小籠良夜 (DARKSIDE OF THE MOON)
「身辺を整理されたし」一葉の通知届けに来るガーゴイル
野良ゆうき (野良犬的)
整理した部屋に居場所がなくなって散らかしてみる なんだかちがふ
松本響 (春色ぶれす SIDE-D)
僕たちは欠けてしまって深海の整形外科に灯りがともる
理宇 (±雑記蝶)
箱庭で恥もなく理路整然と正義を語る君が嫌いだ。
水須ゆき子 (ぽっぽぶろぐ)
あさなあさな古眼鏡にて整える世界は霞むほどがよろしき
かっぱ (きゅーりをこのむ)
はみだすまい、はみだすまいと思ううちヒトのかたちに整っていた
新藤伊織 (月が堕ちるころ)
理由ならあとから付けるとりあえず整えられた道はいかない
みにごん (MINI'S LIFE blog)
でこぼこのガードレールを蹴飛ばして整数のまま暮らしてみるね
ケビン・スタイン (In Other Words・別の言葉で)
「君」が、本なんてぜんぜん読まない人だから、ただ見た目でそろえただけだとしたら、整理した本人でも「坊ちゃん」の位置は分からないんじゃなかろうか。
でも、もしかしたらものすごく記憶力のいい人で、適当に置いてあるようで全部把握しているのかもしれない。この場合、他の人が勝手に触ると異常に腹を立てる可能性があるので、「君しか知らぬ」というのが切実になる。
まぁそれほど「坊ちゃん」を読みたがっているようには思えないし、日常のちょっとした話なんだけど、なんか意表を突かれた歌だった。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬称略
行方祐美 (やまとことのは)
整理できぬ冬の机を笑われて春はただいまスキップ中です
西中眞二郎 (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)
解体を控えし家を整理しつ壁傷つけるにためらいており
暮夜 宴 (青い蝶)
端整な顔立ちをしたアリクイに口説かれている春のうたた寝
ざぼん (グレイト・エスケイプ!)
整然と午後の授業も始まって私ひとりが泣きそうでした。
謎彦 (ジャポン玉)
けふは歌よまむ気もなく袂より荘園整理令とりいだす
五十嵐きよみ (ドン・ジョヴァンニはアリアを歌わない)
スペードのキングが髭を整えてあなたの部屋まで晩餐に来る
帯一 鐘信 (361℃)
整いは乱してくれとひっそりと暗闇で待つ旅館のふとん
なまねこ (路地裏稼業)
整えた指先の爪みじかくてゆうべのことなどなかったように
笹井宏之 (【些細】)
もともとはふたりはおなじ骨でした 整骨院に降る蝉時雨
振戸りく (夢のまた夢)
整数に正負があると知ってから預金通帳をひらいていない
小籠良夜 (DARKSIDE OF THE MOON)
「身辺を整理されたし」一葉の通知届けに来るガーゴイル
野良ゆうき (野良犬的)
整理した部屋に居場所がなくなって散らかしてみる なんだかちがふ
松本響 (春色ぶれす SIDE-D)
僕たちは欠けてしまって深海の整形外科に灯りがともる
理宇 (±雑記蝶)
箱庭で恥もなく理路整然と正義を語る君が嫌いだ。
水須ゆき子 (ぽっぽぶろぐ)
あさなあさな古眼鏡にて整える世界は霞むほどがよろしき
かっぱ (きゅーりをこのむ)
はみだすまい、はみだすまいと思ううちヒトのかたちに整っていた
新藤伊織 (月が堕ちるころ)
理由ならあとから付けるとりあえず整えられた道はいかない
みにごん (MINI'S LIFE blog)
でこぼこのガードレールを蹴飛ばして整数のまま暮らしてみるね
2008/03/10 | trackback(0) | comment(2)
Comment
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| 2008.03.10 | edit?
お知らせありがとうございます。
また寄らせていただきます。
また寄らせていただきます。
お気楽堂 URL | 2008.03.13 | edit?
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