らくだはお気楽
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五首選会に参加します

category: くもの巣
12月になりました。いよいよ2014年版の題読にかかります。
が、その前に、久しぶりに中村成志さんの五首選会に、参加させていただきます。
よろしくお願いします。

自選五首 「そおゆう歌ぢやないっ!」

003:育  楽歌みゆき31「金魚」 (歌詞 J-lyric.netより
あのポイに掬われたとは思えないほどに育った金魚三匹

031:栗  楽歌みゆき31「帰れない者たちへ」 (歌詞 J-lyric.netより
少しでも後ろめたさを除くため栗名月と言い替えてみる

057:県  楽歌みゆき31「遍路」 (歌詞 J-lyric.netより
逆打ちで巡ると言うがスタートが香川県だと分かっていない

064:妖  楽歌みゆき31「キツネ狩りの歌」 (歌詞 J-lyric.netより
またおなじ三叉路に出る妖のやることだから意味なんてない

088:七  楽歌みゆき31「十二天」 (歌詞 J-lyric.netより
神々の怠惰へ叱咤激励を七のつく日はお百度参り


今年は中島みゆきの歌をネタ元にして100首詠んでみようと思い立ったものの、なんといっても題詠なので、どうやっても歌(本家)に沿わないお題もあり、さらに、違う歌でも心理は同じ、となると結局おふざけに逃げるしかないのでした^^;
本家とは似ても似つかない鬼子の歌を自選といたしました。(まだ他にもありますが^^;)


お気楽堂の今年の100首は↓

楽歌みゆき31 100題100曲

001:咲  「アザミ嬢のララバイ」
夜にしか咲けない花は夜にしか泣けないひとり星を見ながら

002:飲  「本日、未熟者」
安酒をラッパ飲みする午前二時 恥もなさけも義も野望もない

003:育  「金魚」
あのポイに掬われたとは思えないほどに育った金魚三匹

004:瓶  「あの娘」
花瓶から花はあふれておさまりの悪いものから捨てられていく

005:返事  「二隻の舟」
風吹けばかすかに揺れる花筏 返事が来ないことは知ってる

006:員  「情婦の証言」
無罪より私のレゾンデートルを陪審員に認めさせたい

007:快  「時刻表」
少しずつ思考回路が擦り切れる帰宅ラッシュの青梅特快

008:原  「うらみ・ます」
胸のうち涙ながらに綴りたる原稿用紙およそ一キロ

009:いずれ  「夏土産」
もうすこし知らないままでいたかったいずれ泣くこと分かってたけど

010:倒  「わかれうた」
冬が来る前に別れるべきだった倒れて叫ぶ道が冷たい

011:錆  「シーサイド・コーポラス」
窓枠に錆の浮きたるコーポラス思い出はみな潮風に散る

012:延  「ひとりぼっちで踊らせて」
二回目の延長告げてもう声もかすれ始めるひとりカラオケ

013:実  「ロンリー・カナリア」
鳥ならば食べないだろう罪の実のかなしく苦い蜜かじりけり

014:壇  「ファイト!」
壇上に立って見下ろす人たちが知らずに浴びる呪詛の数々

015:艶  「パラダイス・カフェ」
いつからか土曜の後が金曜になったとママが艶冶な笑みで

016:捜  「追いかけてヨコハマ」
ヨコハマを好きなまんまでいたいからあんたを捜しになんかいかない

017:サービス  「ミラージュ・ホテル」
ありえないドアが現れ絵の中の少女が告げるルームサービス

018:援  「Maybe」
祈っても援軍なんて来やしない深呼吸して踏み出す一歩

019:妹  「しあわせ芝居」
恋人になれないのなら友だちやまして妹なんてまっぴら

020:央  「タクシー・ドライバー」
タクシーじゃ滑走路には見えないと分かってて乗る中央フリーウェイ

021:折  「家出」
三つめの信号左折すればもうもどれぬ道に満月が咲く

022:関東  「根雪」
音消えし真夜は穢れを知らぬかに関東地方大雪警報

023:保  「B.G.M.」
優しげにお待ちくださいと言ったきり五分聞かせる保留メロディ

024:維  「浅い眠り」
静電気ばかりあふれるさみしさに繊維の町は絹の夢みる

025:がっかり  「やまねこ」
そもそもの生まれからしてがっかりな娘なんだし出奔もする

026:応  「C.Q.」
惑星のめぐる軌道をかいくぐり泳ぐかすかな波に応えよ

027:炎  「ひとり上手」
君の名と見慣れた文字を舐めながらほんの一瞬炎が笑う

028:塗  「おもいで河」
都合よく塗り替えたって無駄だよとおもいで河がわたしを拒む

029:スープ  「蕎麦屋」
なぐさめはいらぬ仲なり黙々とスープまで干すカップラーメン

030:噴  「さよならの鐘」
音楽に合わせて上がる噴水がすべて降りたら訣別のとき

031:栗  「帰れない者たちへ」
少しでも後ろめたさを除くため栗名月と言い替えてみる

032:叩  「あり、か」
すごまれて身ぐるみ剥がれ容赦なく叩き出される雨の路地裏

033:連絡  「誘惑」
密室の一晩だけのかりそめのリアル連絡先は聞かない

034:由  「見返り美人」
しあわせな不自由ふしあわせな自由いつか逆転するその日まで

035:因  「はじめまして」
諦めがかんじんだとは思わないここで断ち切る因果応報

036:ふわり  「風の姿」
顔色をうかがう癖をなおすためシフォンのシャツをふわりと羽織る

037:宴  「一期一会」
みな違う国の言葉で記されたラベルの酒を酌み合う宴

038:華  「傾斜」
白木蓮(はくれん)も華やぎを終え今日やっと君を葬る忘却の河

039:鮭  「小石のように」
鮭でさえ生まれた川へ帰るのに海も知らずに道を失う

040:跡  「あたいの夏休み」
見せつけるためのみやげを買えばもう見向きもしない名所旧跡

041:一生  「かもめはかもめ」
ひきかえに失うものを悔やむ日が一生来ない愛をください

042:尊  「化粧」
かろうじて涙を止める自尊心ふるい立たせて化粧ほどこす

043:ヤフー  「捨てるほどの愛でいいから」
こんなにもヤフーに店があるのなら一軒ぐらい愛を売ってよ

044:発  「狼になりたい」
駅前に始発待ちつつくだをまく吉野家もない郊外の町

045:桑  「阿檀の木の下で」
夕凪の海を見下ろし仏桑花ただ粛々とひと日を閉じる

046:賛  「宙船」
賛同者なき船出なり難破するリスク背負いて自由きままに

047:持  「ショウ・タイム」
ようつべに晒す勇気を持ってたら引きこもったりしない五年も

048:センター  「霧に走る」
信号もセンターラインもハンドルを握るあなたも霧にとけゆく

049:岬  「歌姫」
はつなつの岬で空へ言挙げす青いドレスは風をはらみて

050:頻  「ミルク32」
埒もない話しに来る口実に頻々とくりかえす失恋

051:たいせつ  「誕生」
言祝ぎに満ちるその時たいせつな思いはきっと血に刻まれる

052:戒  「信じ難いもの」
信じてるふりするほうが楽なだけ自戒するほど強くもないし

053:藍  「時代」
ずっしりと重い甘藍選りながらかつて貧しき日々ありしこと

054:照  「あした天気になれ」
太陽はひとしく照らす喜怒哀楽どんなときでも天気になあれ

055:芸術  「この世に二人だけ」
あなたとの縁がないのは芸術と縁がなかったせいにしておく

056:余  「世迷い言」
干からびたみかんの皮もそのままに風邪のだるさを持て余しおり

057:県  「遍路」
逆打ちで巡ると言うがスタートが香川県だと分かっていない

058:惨  「あなたが海を見ているうちに」
惨めさを誰も見咎めないでくれサンダル提げて国道をゆく

059:畑  「旅人のうた」
しがらみはみな捨ててきた根なし草たとえば肥えた畑の夢も

060:懲  「100人目の恋人」
一度でも懲りたら終わる恋の闇比翼の鳥を手に入れるまで

061:倉  「エレーン」
なにひとつ身元を示すものもなく短波ラジオが倉庫に残る

062:ショー  「悪女」
朝までの時間潰しにもぐり込むレイトショーにはアベックばかり

063:院  「僕は青い鳥」
青い鳥とらえそこねて病院のベッドの上で目を覚ます また

064:妖  「キツネ狩りの歌」
またおなじ三叉路に出る妖のやることだから意味なんてない

065:砲  「笑わせるじゃないか」
なにごとも一途な恋のなせるわざ集中砲火あびせられても

066:浸  「白鳥の歌が聴こえる」
感傷に浸ることなく鳥渡るおいてきぼりの季節のはざま

067:手帳  「雪」
縁うすき父と娘と思し召せ手帳に記す祥月命日

068:沼  「夜風の中から」
また誰か失くした斧を嘆くのか沼の底にはささぬ月光

069:排  「髪を洗う女」
流れない未練が髪にわだかまり排水口が悲鳴をあげる

070:しっとり  「空と君のあいだに」
声ひそめ木陰で雨をやり過ごす鳥のつばさはしっとり濡れて

071:側  「シニカル・ムーン」
朧夜のそぞろ歩きは右側がテレパスになる今宵はきみが

072:銘  「愛だけを残せ」
ひとりでも僕をおぼえているひとがいれば墓碑銘なんかいらない

073:谷  「裸足で走れ」
吊り橋の板の隙間の谷底が視線をとらえ身動きできぬ

074:焼  「フォーチュン・クッキー」
運を天に任せることも必要よ焼き上がるころまたいらっしゃい

075:盆  「背広の下のロックンロール」
ツェッペリンかけっぱなしの車から盆梅ささげもって男は

076:ほのか  「あぶな坂」
彼岸花ほのかに灯るこの先は引き返せない黄泉平坂

077:聡  「恋文」
聡明なあなたにしてはサヨナラを伝えるすべを間違えたわね

078:棚  「泣きたい夜に」
たっぷりと水を吸い込むおおぶりのタオルばかりを棚にそろえる

079:絶対  「蒼い時代」
絶対がついた時点で約束は反故にされると覚悟していた

080:議  「EAST ASIA」
二十文字以内で遺漏を説明せよ踏みしだかれる京都議定書

081:網  「テキーラを飲みほして」
ときどきの好みに合わせ網タイツなま足またはルーズソックス

082:チェック  「友情」
友情をふりかざしつつ握手する前にかならずボディチェックを

083:射  「ルージュ」
抽斗にピンクのルージュ放り込み西日射し込む部屋におさらば

084:皇  「DIAMOND CAGE」
怨霊となりたる皇子を祭りあげ血で贖える万世一系

085:遥  「波の上」
遥かなる水平線に消えてゆく船はエデンを知っているのだ

086:魅  「不良」
寝食もわすれ魅惑のピカレスク閉じたとたんに平々凡々

087:故意  「横恋慕」
ひとりではない時ばかり掛けてくる故意だからこそより疎ましい

088:七  「十二天」
神々の怠惰へ叱咤激励を七のつく日はお百度参り

089:煽  「流浪の歌」
旅立ちを煽ってくれる風もなく地下の酒場の闇へと沈む

090:布  「糸」
たてとよこ太さのちがう糸で織る少しいびつな布のあじわい

091:覧  「 思い出させてあげる」
忘れたいことを忘れた気にさせていざ裏切りの閲覧履歴

092:勝手  「髪」
あきらめの悪い心が乗りうつり影が勝手に動きはじめる

093:印  「御機嫌如何」
消印を封緘として切手には最後の涙が閉じ込められる

094:雇  「あわせ鏡」
望むとき望む答えをくれぬならおまえを雇う意味がなくなる

095:運命  「夜行」
運命にいつも背中を向けられるけれど希望はまだ捨ててない

096:翻  「銀の龍の背に乗って」
翻る尾びれは銀に輝いて請雨経曼荼羅図あおあお

097:陽  「僕たちの将来」
見たくても見えないものと見たくないのに見えるもの陽炎ゆれて

098:吉  「最愛」
わたしではないひとだけのものになるあなたのための大安吉日

099:観  「恋とはかぎらない」
あきらめや投げやりじゃなく楽観と思えば生きるのもつらくない

100:最後  「F.O.」
フェミニストぶるな冷めたと言うのなら平手で見舞う最後通牒

2014/12/15  | trackback(0) | comment(9)


Comment

お気楽堂さんの五首選 [いたいいたい五首]

001:咲  「アザミ嬢のララバイ」
夜にしか咲けない花は夜にしか泣けないひとり星を見ながら

004:瓶  「あの娘」
花瓶から花はあふれておさまりの悪いものから捨てられていく

010:倒  「わかれうた」
冬が来る前に別れるべきだった倒れて叫ぶ道が冷たい

058:惨  「あなたが海を見ているうちに」
惨めさを誰も見咎めないでくれサンダル提げて国道をゆく

093:印  「御機嫌如何」
消印を封緘として切手には最後の涙が閉じ込められる


すごく切なくて痛い五首を選ばせていただきました。
好きなお歌がたくさんありましたが、大変申し訳無いことに中島みゆきさんをほとんど存じ上げていないため、短歌のみで鑑賞した視点で選んでいます。

001:夜にのみ咲く花がひとりで星を見上げている、美しい情景を浮かべました。花は女性(もしかしたら夜のお仕事をしている)の暗喩なのだとは思いますが、そのまま花として読んだら幻想的で素敵だなぁと思いました。
004:「おさまりの悪いものから捨てられていく」ってすごいです。画一的なものを良しとする社会、ですね。
010:「倒れて叫ぶ道が冷たい」この歌もこの下句にやられました。
058:サンダルを片手に下げて国道をひとり裸足で歩く惨めさ。外界を拒絶する心情がとても伝わってきます。
093:涙を切手に封じ込める、その発想がすごいと思いました。もらった方はそれとは気づかないことを思うと少し怖いのですが、どこか美しい。
千原こはぎ URL | 2014.12.07 | edit?
≪お気楽堂さんの100首からーわんこ好み5首≫

039:鮭  「小石のように」
鮭でさえ生まれた川へ帰るのに海も知らずに道を失う 


043:ヤフー  「捨てるほどの愛でいいから」
こんなにもヤフーに店があるのなら一軒ぐらい愛を売ってよ


048:センター  「霧に走る」
信号もセンターラインもハンドルを握るあなたも霧にとけゆく 


097:陽  「僕たちの将来」
見たくても見えないものと見たくないのに見えるもの陽炎ゆれて  

098:吉  「最愛」
わたしではないひとだけのものになるあなたのための大安吉日 



やられました……お気楽堂さん。
100首全部、中島みゆき節のメロディーで歌えちゃうじゃないですか。
並べなおしたら5曲くらい、いや、みゆきさんの曲はリフレインが多いから
10曲できるんじゃないですか。


今回はテーマを決めずに「お気に入り印」をつけて、その中から5首に絞りましたが、
よくよく見ると、私が苦戦したお題ばかりになったような。
010:倒、034:由、040:跡、069:排……も最終選考に残っていました。


読みながら、まずみゆきさんの曲を歌ってしまい……
そして、お気楽堂さんの歌にメロをつけていて、なんて私得な選歌であったか。
本当にありがとうございました。
わんこ山田 URL | 2014.12.08 | edit?
  「料理」五首


017:サービス  「ミラージュ・ホテル」
ありえないドアが現れ絵の中の少女が告げるルームサービス

037:宴  「一期一会」
みな違う国の言葉で記されたラベルの酒を酌み合う宴

053:藍  「時代」
ずっしりと重い甘藍選りながらかつて貧しき日々ありしこと

074:焼  「フォーチュン・クッキー」
運を天に任せることも必要よ焼き上がるころまたいらっしゃい

089:煽  「流浪の歌」
旅立ちを煽ってくれる風もなく地下の酒場の闇へと沈む


「中島みゆき」という強烈な個性を向こうに、時に真っ向から、ときにちょっとずらして相対する、お気楽堂さんの歌。
けっこう好きな歌手なので、挙げられたうちの半分くらいはメロディが思い浮かびます。
それが短歌と響きあうこともあれば、正直、その旋律がちょっと邪魔だなと感じることも。
いわゆる本歌取りの宿命なのでしょうね。

自選がそうでしたので、その流れで「料理」をテーマにしたのですが。
意外に、というか普通なのでしょうが、料理を連想させる歌はあまり無く。
少しずれた選になってしまいました。済みません。
けれど、これらの歌が好きなことには変わりはないのですが。
中村成志 URL | 2014.12.08 | edit?
「ねぇ、薫くん、見てみてみて!おもしろいもの見つけてきちゃった!」
そう言って彼女がドンと卓上に正方形の黒い物体を置いた。
(なんだろう?)
「なんだと思う?」
「ビックリ箱?」
「惜しい!」
「スピーカー?」
「近い!」

「ジャーン、正解は中島みゆきDVDボックスゴロク!」

「中島みゆきのDVDBOX!?」

「ノー、ノー、ノー、中島みゆきのDVDボックス・ゴ・ロ・ク」

ボックスゴロク!?

取説を見ながら彼女は謎のブラック・ボックスの機能を説明する。

……つまりあれか、サイコロを振って出た目の数にしたがって進み、マスにとまったところで中島みゆきの曲がかかるということ?

「うん、そう。しかも一マス一曲、百マスで百曲だって」

「…てことは、うらみ・マスにとまったらうらみ・ますがかかるってこと?」
「薫くん、うらみ・ます聴きたいの?」
「いや、例えばの話」

ものはためしてガッテン。

PLAYボタンを押す。ボックスが震動する。どういう仕組みになっているのかみるみるうちにトランスフォーム→液晶画面現出。サイコロが描かれたボタンをプッシュ。液晶画面でサイコロが踊る。クルクルクルッと回って三の目。

画面に文字が現れる。


あのポイに掬われたとは思えないほどに育った金魚三匹


続いて、「曲名を言ってください」の文字。

???????

「なに、これ!? クイズ?」

あと10秒…液晶画面がカウントを始める。

「えっ、何、き、金魚?」

液晶画面が耳に手をやって、えっ何、聞こえないよ?のポーズ。

「あっ、これ! これじゃない?この付属品のマイク!これを使って…」

ブー、時間切れです。


なに、これ……

脱力感を覚えながらもマイクを接続して再チャレンジ。

サイコロを振る。出た目は一。
はね駒。4マス目に到達。画面に文字が現れる。


風吹けばかすかに揺れる花筏 返事が来ないことは知ってる


?????

「わからないよぉ~」

「ほら、早くなんか言えって!」

「う~~~ん、パス!」

ブー、外れです。

「う~、パスできないよぉ」

それからも俺たちはサイコロを振り続けたが中島みゆきは歌わない。
ついには液晶画面にはこんな文字が……

GAME OVER

「…ねえ、これいくらで買ってきたの?」

「沖楽堂でジャスト一万円」

「沖楽堂って…あの昼間は古道具屋、夜は『酒場でDABADABA』という飲み屋に変わるっていう…」

「うん、そう。店の前通りかかったらね、なんか掘り出し物があるっていうから…」

「ジャスト一万円てことは一曲百円か……あっ消費税は?」
「それはまけてもらった」

高いのか安いのかよく分からないが、このままでは一万円捨てたようなものだ。
(よし、あいつに頼もう!


……数日後。ブラックボックスを手にして現れたのは薫の友人。

「あっ、ブタゴ……いや、熊田くん、これ改良して自由に選曲できるようにしようと思ったんだけど、そうするとこのボックスゴロクの持ち味が損なわれるんじゃないかと思ってね、それは止めにしたんだ。
その代わりにサイコロの目を1~99まで出せるようにしたよ」
そう言って、薫の友人はPLAYボタンを押して、サイコロを振った。クルクルクルクルッと回ってあり得ない目が出た。33。
画面に文字が現れる。


密室の一晩だけのかりそめのリアル連絡先は聞かない


「それからね、これは歌なんだよ」
「歌?」
「ほら、五七五七七になっているでしょ。これは短歌だ」

ふ~ん、なるほど。それでこの短歌が曲を暗示しているってわけか。

ブー、時間切れです。

あっ、答えればよかったね。ちなみに今の33マス目の歌は『誘惑』という曲に対応する。
上句の「密室の一晩だけのかりそめの」の、なんかこう迫ってくる感じが、それっぽいよね。かりそめの秘め事ゆえに「リアル連絡先は聞かない」。上手いよね。作者は誰なんだろう。

「ライナーノーツには、短歌:沖楽子とあります。」

「沖楽堂さんか、沖楽堂の関係者か……ん、このボックスゴロクは沖楽堂製?」

「たぶん、そうだね。あそこのご主人、僕も知っているけど、ずいぶん変わったものを取り扱うけど、自作品も多いと聞く」

「おい、それじゃお前の同類じゃないか!」

あはは、そうだね。
薫の友人はかるくわらった。

「ところでブタゴ…いや熊田くん、短歌と曲の対応表もつくってきたんだけど…」

「いや、サイコロに細工した上にアンチョコを見ながらやるなんてのは俺のプライドが許さねえ。お前の気持ちだけ受け取っておくよ。この謎の文章が短歌だってことを教えてくれただけでじゅうぶんだ」

「熊田くん、いやブタゴリラならきっとそう云うと思ったよ。それじゃ僕はみよちゃんと約束があるから…」

「おう、サンキュー、キテレツ!コロ助によろしくな!」

「ねえ、いまのひと…」
「ああ、木手っていうんだ。ガキの頃からの付き合いでな。いいやつだよ」

「お前もいいやつだよ、ブタゴリラ! フフッ、薫くんブタゴリラってあだ名だったんだ」

「ああ、男なのにカオルなんて恥ずかしくってよ、ブタゴリラって言われたほうがまだましだよ」

「じゃあ、私もブタゴリラって呼ぼうかな」

「いや、死ぬまでブタゴリラはかんべん」

「……!」

見つめ合うふたり

「ずっと一緒にいてくれないか、死ぬまで……」


まわるまわるよ時代はまわる。ふたりがサイコロ回さないなら私が代打ち致します。

クルクルクルクルッと27の目。


しがらみはみな捨ててきた根なし草たとえば肥えた畑の夢も


故郷を出奔するときのいたみかなしみうつくしい海、空、サンゴの言い伝えぜんぶを捨てて何処へゆく。花の都の大東京チルチルミチル青い鳥。しあわせってなんだっけ、なんだっけ。東京には空がないと智恵子は。スタジアムにはスタジアムの畑には畑の。


入りやす。出た目は33。


あきらめの悪い心が乗りうつり影が勝手に動きはじめる


夢を見ていたんだ、ずっと。故郷を出てから何年目。日々の暮らしの糧を得るために時間を切り売りし、一週間のサイクルにどっぷりはまりこんでいる。こんなはずではなかった。俺は、俺は…


サイコロを振る。三。


運命にいつも背中を向けられるけれど希望はまだ捨ててない



東馬 想 URL | 2014.12.09 | edit?
↑東馬さん、面白すぎる~~~!!!

中島みゆきDVDボックスゴロクだって!!!
楽しすぎて、真夜中にテンションあがってしまって大変!!!
わんこ山田 URL | 2014.12.09 | edit?
こんばんは。よろしくお願いします。
お気楽堂さんの100首の中から、私が選んだ5首は以下のとおりです。

 *


016:捜  「追いかけてヨコハマ」
ヨコハマを好きなまんまでいたいからあんたを捜しになんかいかない

029:スープ  「蕎麦屋」
なぐさめはいらぬ仲なり黙々とスープまで干すカップラーメン

040:跡  「あたいの夏休み」
見せつけるためのみやげを買えばもう見向きもしない名所旧跡

050:頻  「ミルク32」
埒もない話しに来る口実に頻々とくりかえす失恋

083:射  「ルージュ」
抽斗にピンクのルージュ放り込み西日射し込む部屋におさらば

中島みゆきの歌にちなんで100首を詠まれたとのこと、面白い試みですね。今年、私はテーマを設けずに詠んだので、来年はまた何らかの路線に沿って詠んでみたいなと刺激を受けました。

さて、歌のタイトルが詞書のように添えられているので、最初はなるべくタイトルを見ないようにしながら、作品だけを読みました。その後、タイトルをしっかり読んでから改めて作品を読み直しました。タイトルを読む・読まないで作品の印象が変わったかどうかというと、8割方は関係なかったですが、2割方は影響があったように思います。

影響が出た例を少し挙げると、例えば「078:棚」の歌は、「泣きたい夜に」というタイトルが詞書のような働きをして、鑑賞を助けてくれました。あるいは、「019:妹」に添えられたタイトル「しあわせ芝居」のように、自分もよく知っている歌の場合だと、歌詞の内容と一首を比較して、歌詞と離れすぎていないか、逆につき過ぎていないかという視点で読む傾向があったように思います。ちなみに、知っている歌は1割程度でした。

5首を選ぶにあたっては、まず「いいな」と思った歌をピックアップ。その先をどういう基準にするかはちょっと迷いましたが、最終的に、「これっていかにも中島みゆきの世界だな」と感じたものを残しました。

「040:跡」は、「あたいの夏休み」という歌を私は知りませんでしたが、1首に詠まれた行為がいかにも中島みゆきの歌にありそうに思えました。こういう行為(というか感情)を真正面から歌にするところが中島みゆきの魅力だなと思います。特に70年代後半~80年代前半ごろは、とても新鮮であり、「よくぞ言ってくれました」というところがありました。この1首は、そうした中島みゆきの歌の魅力をよく伝えていると感じました。

「029:スープ」も中島みゆきっぽいです。こういう友だち関係、いいなあ。一首としてもとても好きでした。

「083:射」の「西日の射し込む部屋」は別れたばかりの恋人の部屋として読みました。もう二度と来ない部屋の抽斗にルージュを放り込む。いつか新しい彼女がそれを見つけて、困ればいい、という感じでしょうか。「忍ばせる」とかではなくて「放り込む」という表現がいいな。これまた中島みゆきっぽいと感じました。
五十嵐きよみ URL | 2014.12.12 | edit?
はじめまして。
よろしくお願いいたします。

〈好きな歌5首〉

005:返事  「二隻の舟」
風吹けばかすかに揺れる花筏 返事が来ないことは知ってる

021:折  「家出」
三つめの信号左折すればもうもどれぬ道に満月が咲く

024:維  「浅い眠り」
静電気ばかりあふれるさみしさに繊維の町は絹の夢みる

068:沼  「夜風の中から」
また誰か失くした斧を嘆くのか沼の底にはささぬ月光

076:ほのか  「あぶな坂」
彼岸花ほのかに灯るこの先は引き返せない黄泉平坂

たくさん好きな歌があり、テーマをしぼろうとしたのですが、どうしてもしぼりきれず、〈好きな歌5首〉とさせていただきました。
「胸がきゅっと痛くなる歌」(「005:返事」「021:折」)と、「幻想的で素敵な歌」(「024:維」「068:沼」「076:ほのか」)です。
ちなみに、中島みゆきさんの歌についてはほとんど無知であるため、純粋に短歌として鑑賞させていただきました。

「005:返事」は桜の季節特有の不安定な感じがリアルで、痛みを覚えつつも惹かれました。

「021:折」は満月のはっとするほどの残酷な光を感じました。
そんなに照らさなくても…というほどのきっぱりとした満月なのかなと思いました。

「024:維」は偶然私も「繊維の町」(私は「繊維街」でしたが)で詠んだのに、なんて幻想的で素敵なんだろうとうっとりしてしまいました。
「静電気」から「絹の夢」へと展開するなめらかさがうらやましいです。

「068:沼」は月光にやられてしまいました。
沼のひたひたとした水面と、底までは届かない月光。
情景を思い浮かべるのも楽しかったです。

「076:ほのか」は「彼岸花」「引き返せない」「黄泉平坂」に畳み掛けられるように惹かれました。
彼岸花の赤だけがほんのりと差し、あとはモノクロの世界なんだろうかとちょっと怖くなったり。

こうして5首を見てみると、不安定な物悲しさに満ちた歌や、時にぞくりとさせられる歌に惹かれているのかなと思います。
素敵な歌をたくさんありがとうございました。

それから、先日は拙い歌の中から5首を選んでくださり、ありがとうございました。
「100首全体が高校生くらいの心理で」という一言がとてもうれしく、コメントも興味深く読ませていただきました。
読みに関しては「実は云々」ということは言わないほうがいいのかもしれませんが、「089:煽」の歌は、「大切な秘密は人に話したら減る」みたいな「高校生くらいの心理」とお考えください。
ちゃんと読み取っていただけるように精進したいと思います…
三船真智子 URL | 2014.12.12 | edit?
ドラマ五首

015:艶  「パラダイス・カフェ」
いつからか土曜の後が金曜になったとママが艶冶な笑みで
027:炎  「ひとり上手」
君の名と見慣れた文字を舐めながらほんの一瞬炎が笑う
36:ふわり  「風の姿」
顔色をうかがう癖をなおすためシフォンのシャツをふわりと羽織る
050:頻  「ミルク32」
埒もない話しに来る口実に頻々とくりかえす失恋
090:布  「糸」
たてとよこ太さのちがう糸で織る少しいびつな布のあじわい

はじめまして。歌という裏テーマがあったのですね。歌の持つ叙情と相まって、でもそこからご自分の世界をしっかり広げていくところ、とても味わい深いです。
具体的にストーリーがありそう、そこからほのかに立ちのぼる叙情、情念に惹かれた歌を選びました。
「シフォンのシャツ」「話しに来る口実」「失恋」。こういう歌は、少し絵になりすぎなくらいが丁度いいんですね。どっぷり暗い何かをはらみながら、最後まで言ってしまわない。豊かさや人生に対するやさしさが見えました。
とみいえひろこ URL | 2014.12.13 | edit?
遅くなりましたが、皆様、選歌ありがとうございました。
今年は中島みゆきの歌から、ヒントどころか言葉や道具立てまでパクっているような作りなので、引用の原典を示すのと同様に歌のタイトルだけでも出しておかないと、盗作・剽窃になりかねないと思った次第ですが、選評を読んで、その影響を軽く考えていたと反省しました。
中島みゆきの歌を知らない人には申し訳ないなぁと思いつつ参加した五首選会でした。丁寧な感想、ほんとにありがとうございました。


こはぎさん

先の説明のとおり、こはぎさんはなにも悪くありません^^;短歌そのものとして読んでいただいて、私としてはたいへんありがたく、大儲け!
切なくて痛い、往年の中島みゆきの歌はまさにそんな感じなので、なんとか本家の面目を潰さずに済んだようで、そういう意味でもホッとしました^^;ありがとうございました。

わんこさん

くくく、10曲いけますか^^;うれしいなぁ~
わんこさんならある程度は知ってるんじゃないかと当てにしてましたが(おぃ^^;、先ず本家を歌っていただくとはありがたき幸せ。
自分では、短歌を作る時にぜんぜんメロディのことは頭に浮かばなくて、そうか、歌詞だけでなく曲も影響するんだと、なにを今さら!な思いでした。反省^^;
ともあれ、楽しんでいただけてよかった。


中村さん

五首選会、ありがとうございました。
自選を見て、私の歌は毎回、食に関するものがほとんどないので申し訳ないなぁ……と思いました。
さらに、本家の曲のことまで思い至らず、選歌の際に煩わしい思いをさせてしまい、二重に申し訳ない。m(_ _)m
みゆきさんが好きということは、なんじゃこれは!という短歌もあったと思います。広い心で渋めのところを選んでいただき、ありがとうございました。


東馬さん

中島みゆきDVDボックスゴロク!ありがとうございました。
わんこさん同様、笑いながら読みました。
沖楽堂の沖楽子! 俳句方面では「沖らくだ」なので字を見て吹き出しちゃった!!楽しかった~。
そんな中でも、応援歌の中島みゆき方面を拾っていただき、ちょっとジンと来ました。ありがとうございました。


五十嵐さん

丁寧に読んでいただき、ありがとうございました。
詞書の影響というものを軽く考えていたなぁと、あらためて反省しました。自分では言い訳みたいなつもりでしたが、読む人にとっては、そこにも意味を見出すわけですから、今後は十分考えようと思います。
そんな中での選歌、中島みゆきの歌の世界っぽいと感じてもらえただけでもう、満足! 五首の中にスープの歌が入っていたのが嬉しかったです。ありがとうございました。


三船さん

選歌ありがとうございました。ややこしい作りのものを選歌させてしまい申し訳ありません。
結構暗め(え^^;の選歌で、うれしい驚きでした。「不安定な物悲しさ」、なるほど納得。私なんて雑な性格なので、ひとこと「暗い」で片付けてしまうところ^^;中島みゆきの歌にどっぷり浸かっていたン十年前はそんな感じだったかなぁ、と思いだしました。
維の歌が入っていてすごく嬉しかったです。ありがとうございました。

それから、私のダサい読み、ほんとにスミマセン。「喋ったら減る」というのはよく分かる。そういう意味では心理的には幸せ方面のようで、ホッとしました。乙女心の読みもなかなか一筋縄ではいかない^^;


とみいえさん

選歌ありがとうございました。
自分の世界なんておこがましい。自分が空っぽなもんだから、ネタがわりに歌を拝借する、なんて失礼なんでしょうね。本家のファンに袋叩きされそう^^;でも白状すると、作っていて自分が楽しかったんです^^;
多分、選んでいただいた歌は、本家のストーリーが強くて、その一部分を感じていただけたのかなと思い、うれしかったです。「情念」まさに中島みゆき!ですね。ありがとうございました。
お気楽堂 URL | 2014.12.21 | edit?

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