らくだはお気楽
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一首選一覧 2013

100:止 より
壬生キヨム  体内の機能が静止したときに聞こえたダブルクリックの音
099:文 より
平野十南  文字たちは乾きおそれて熟語なす 人間でいることに懸命
098:濁 より
風橋平  突堤の切れ目が海であることを濁った水は知らず出てゆく
097:証 より
莢  証するもの悉く塵にして風のありかを知らせる手紙
096:季節 より
流川透明  君を捨て季節を捜す旅に出て空の高さを思い知る浜
095:例 より
ロクエヒロアキ  坩堝から引き出だされた先生が息も絶え絶えかたる凡例
094:衆 より
はぜ子  救済の及ばぬことに安堵して衆生は眠る多摩ニュータウン
093:ドア より
莢  ドアーズをはじめて聴いた 曲線を大きな雲がゆく夏だった
092:局 より
津野桂  局留めの手紙に封じる風と砂サヨウナラからさようならまで
091:鯨 より
円  遺されたボーカロイドの声だけが鯨を呼んで訪れる朝
090:唯 より
紫苑  うつくしき谷間の百合を語りあふ唯物論をうしろ手にして
089:出口 より
原田 町  今生の出口ならんか炉の扉ひらくをわれら順番に待つ
088:弱 より
穂ノ木芽央  守るべきものを得しこと己をば強くもさせる弱くもさせる
087:餅 より
美穂  一歳の誕生餅を背負わせておとな六人子を泣かせおり
086:ぼんやり より
鳥羽省三  ぼんやりと頬杖突いているだけで考える人と言われる辛さ
085:歯 より
kei  園児バスを見送ったあと歯に衣を着せて始まるお喋りタイム
084:左 より
兵站戦線  左側だけが病みたる不思議さよ右半分が軽く慰む
083:霞 より
みずき  春霞む野辺のほとりの石佛に魂ほどの陽炎のたつ
082:柔 より
じゃこ  かぴかぴになってしまった 柔軟剤入れて洗ったタコだったのに
081:自分 より
葵の助  乖離する自分と自身 駅前のコインロッカー靴を投げ入れ
080:修 より
三沢左右  秋の日は身を修むべし栗色のストールを巻く木漏れ日の下
079:悪 より
橋田 蕗  ことのほか長き悪阻にて不安なるわれに無言の月の光さす
078:師 より
有櫛由之  かささぎの不渡り二号途絶えしてあはれ詐欺師の恋は知られず
077:うっすら より
ひじり純子  うっすらと気づいているわ二人共墓場まで持つ荷物が重い
076:納 より
三沢左右  見納めと思ふ雨夜の桜花 傘くるくると少し傾く
075:良 より
矢野理々座  エルニーニョ現象だって予測する時代に残る「お日柄も良く」
074:ワルツ より
紙屑  淋しげなワルツに合わせ踊りあう陶器のふたり1500円
073:史 より
kei  中世の城壁を見るスタートは欠伸の出ない史学教室
072:産 より
芳立  軍事用キューティーハニー零式の製産ラインに並ぶおつぱい ※零式/れいしき
071:得意 より
鈴木麦太朗  何となく朝の気分にさせるのは缶コーヒーの得意技です
070:柿 より
秋月あまね  アパートの最上階の干し柿の紐がとってもカラフルである
069:視 より
こすぎ  視えるなら幽霊でいい はなしたいこと沢山あるんだ
西村湯呑  またそんなふうにわたしをバカにして 死んでるくせに 視えないくせに
068:兄弟 より
槐  夫婦(めをと)にはなれぬが故に兄弟の杯をあげ抱く夜もあり
067:闇 より
海  図書館で借りた呪いの巻物で子らと一緒に闇をさまよう
066:きれい より
美穂  行く人の「きれいね」と言う声がして庭先の花微かにゆれる
065:投 より
由子  厄落としから始めようオフの日は洗濯機へと投げこむタオル
064:刑 より
流川透明  さよならという実刑が見送られまた逢いに行く執行猶予
063:以上 より
秋月あまね  救済を求めた以上伸べられた手のいずれかを掴むべきだろ
062:氏 より
じゃこ  次々に彼氏候補とすれ違う 誰も選んであげないけれど
061:獣 より
原 必  獣との距離感はかるために飲むオロナミンc電車はまだか
060:何 より
風橋平  体から何度も虹が出て行って駅は峠にいつでもひとり
059:永遠 より
橋田 蕗  永遠は夢見るものと知ってのち もっと遠くへ西瓜の種を
058:秀 より
紫苑  縦糸をくぐりゆく梭は魚(いを)のごと秀つ手(ほつて)をはなれ自在におよぐ
057:衰 より
藻上旅人  衰えてゆく太陽とともにいて宇宙の果ての命を信ず
056:善 より
有櫛由之  ハトにパンくらいしか思いつかなくて善人になるのをあきらめる
055:駄目 より
山本左足  カーテンを開けばすぐに朝がきてどこが駄目だかまだ分からない
054:商 より
夏樹かのこ  消費税分の商品券のため買った何かを思い出せない
053:受 より
佐藤紀子  てんでんこ、死はそれぞれに受け入れてどんな人でも「それでおしまひ」
052:ダブル より
橋田 蕗  気象図が込み合う午後はまるまってダブルベッドの真ん中あたり
051:般 より
kei  一般的に言えばすべてが嘘になる鰯雲から鱗一枚
050:互 より
原田 町  お互いの健康法を競いあい昔女子会やっとおひらき
049:括 より
芳立  永久なれやおからを乞ひて古井戸の水に括りし遊び女の名は
048:アルプス より
不孤不思議  穂高にはわが青春のハーケンを打つ木魂あり雪のアルプス
047:繋 より
西村湯呑  「繋ぎたい」なんて言えるか恥ずかしい 男は黙ってチャーミーグリーン
046:間 より
村木美月  いい人で終わってしまう間柄わがままひとつ言えないままで
045:喋 より
藻上旅人  わたしたち喋り始めて気がついた毎日ここで出会ってたんだ
044:日本 より
ワンコ山田  残酷な仕打ちを人に向けぬようチーズが縦に裂ける日本
043:慣 より
中村成志  大衆が偉業に慣れてゆくことのそれでもはるかなるマッキンリー
042:若 より
砂乃  軽すぎるフットワークを妬まれる牛若丸のような新人
041:カステラ より
とおと  カステラぢやなく、かすていら。 カステラぢやなく、かすていら。 さう、かすていら。
040:誇 より
じゃこ  あまりにも誇らしそうに現れてチャック開いてるなんて言えない
039:銃 より
芳立  ためらはず蜂の巣にせよ銃口のやうに冷たく熱いくちびる
038:イエス より
津野桂  どの果てへあなたは連れてゆくのだろうイエスと言った覚えもないのに
037:恨 より
泳二  恨みとか憎しみとかを食べている獏がいたけど今日死にました
036:少 より
白亜  まだ空のいろに届かぬ少年に風の種子をひとつぶ与ふ
035:後悔 より
じゃこ  飛び散ったガラス拾って指を切る どこから後悔すればいいのか
034:勢 より
鈴木麦太朗  台風の勢力増してゆく夜も缶コーヒーは倦まずたたずむ
033:夏 より
青山みのり  はつ恋ははつ夏に似て過ぎ去れば澄んだ水へと濾過されてゆく
032:猛 より
ロクエヒロアキ  詰襟も脱がないままに猛毒をうすめたものを服む昼下がり
031:はずれ より
鮎美  キシリッシュ四つまとめて噛みながらプログラマーははずれを仕込む
030:財 より
津野桂  晴れた日の散財のよう(さようなら)ときみを手放す
029:逃 より
山本左足  逃亡の果てにいつしかたどり着く袋小路でまた君に会う
028:幾 より
守宮やもり  幾重にも嘘を重ねて生きてきて死ぬことだけがほんとうだった
027:コメント より
鮎美  回答する立場となれば黙殺す「フリーコメント(任意)」の欄は
026:期 より
みずき  思春期の少女に還る潮騒へ女屈みて描くさよなら
025:滅 より
綾倉由紀  ミレニアム滅亡説を上回る都市伝説を捏造したい
024:妙 より
こはぎ  神妙な面持ちですねあと少し待てば赦すと思ってますね
023:不思議 より
黒崎立体  不思議ってたとえば水を見るときのいろいろ揺れてまた戻るやつ
022:梨 より
桔梗  さりさりと梨をむく手はやわらかく去りゆく夏をしづかに送る
021:仲 より
綾倉由紀  五丈原より仲達を走らしめベイブリッジに届く風受く
020:嘆 より
有櫛由之  遅霜の傷も嘆きもおぼおぼと柔くつつみて春の蓬葉
019:同じ より
ロクエヒロアキ  いつまでも同じページを読んでいる文字のすきまに禽《とり》を飼うひと
018:闘 より
紙屑  ひらひらと小瓶に揺れる闘魚の尾彼も独りで生きて死ぬのか
017:彼 より
円  誰そ彼という語を知ってからのこと君だと思う五時の夕闇 
016:仕事 より
秋月あまね  何処かの輪禍のために車内にて時間を潰す今日のお仕事
015:吐 より
紫苑  あくがれはかくされずあり夏空にグラジオラスは火のいろを吐く
014:更 より
葵の助  惣菜のパート社員の香水が女子更衣室で誇らしく咲く
013:極 より
鮎美  撮影用ガラムマサラを極細の竹串で整へる丑の刻
012:わずか より
久野はすみ  着地点わずかにずれてウルトラの父は憂鬱なにか踏みたる
011:習 より
芳立  文机に色なき筆の墨ならで春は習はぬ恋もするかな  ※文机/ふづくえ
010:賞 より
黒崎立体  さんじゅうを賞味期限と呼ぶようなおまえに食わす私ではない
009:テーブル より
光本博  通されし喫煙席のテーブルに灰皿あらず隣より取る
008:瞬 より
海  ざくざくと霜柱踏むさんぽみち瞬足という名のくつはいて
007:別 より
泳二  若鶏のソテー季節の根菜と別れる朝のあくびを添えて
006:券 より
山本左足  乗車券を栞にかえて少年はねむる海まで行くバスのなか
005:叫 より
こはぎ  叫んでもいいですか屋上なんてそのためだけにあると習った
004:やがて より
魚住蓮奈  六月の嘘を固めた虹を売るさみしがりやがてのなるほうへ
003:各 より
虚空津日高  学生の進路やいかに各々が目指す高嶺の青き雲々
002:甘 より
南野耕平  もう少し噛み続ければ甘くなるあれやこれやがはさまる奥歯
001:新 より
円  新雪と呼ばれることもなく水になったものらの名を考える

2006/06/04  | trackback(0) | comment(0)


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