らくだはお気楽
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一首選一覧 2012

100:先 より
南葦太  彗星が聞いたエキゾーストノート 酸素も尽きたその先の夢
099:趣 より
東 徹也  倍率を超えたところにある星の趣を読む空の家元
098:激 より
やや  音もなく降りつもる雪 静けさの中にひっそり激情がある
097:尾 より
鮎美  太き尾をのたりのたりとうち振りて洗濯物のうへにて眠る
096:拭 より
ゆら  お月さまの通る窓を拭うまだ異世界に行くおはなしが好き
095:樹 より
中村成志  記念樹と言い張るのならそれも良しふたり見上げましょうか鉄塔
094:担 より
ゆら  不幸せ担当として育てられたはずだったのにあなたも泣くの
093:条件 より
出雲もこみ  条件は特にないけどなんとなく貴方じゃないと言われて三十路
092:童 より
山本左足  もしここが童話の世界だとしてもぼくのキスでは目覚めないんだろ
091:締 より
五十嵐きよみ  靴ひもを締め直したらもう一度つまずく前から始めればいい
090:舌 より
青山みのり  麻雀の牌かろやかに舞い降りて 天気を語る二枚目の舌
089:喪 より
南野耕平  喪服から数珠と喪章を取り出して替りにしめる白いネクタイ
088:訂 より
久哲  折々の世相に合わせ妖怪の改訂版が出てくる夜道
087:チャンス より
夏実麦太朗  手のなかにチャンスは入っているだろうガッツポーズの指をほどけば
086:片 より
吾妻誠一  酒瓶の欠片が寄越す朝日避け眠たい路地で留守電を聞く
085:甲 より
み  アイドルという様式のメタにして甲乙丙丁ももクロがゆく
084:西洋 より
熊野ぱく  手始めにスワンを漕いで準備する大西洋の冒険航路
083:邪 より
柳めぐみ  ひまわりを薬罐に刺して8月はわが家を邪宗門と名付ける
082:苔 より
南野耕平  どの苔が好みですかとバッグから見本取り出す時間職人
081:秋 より
小夜こなた  秋色のまだそぐわない地下街を栗よ芋よと魅せられてゆく
080:たわむれ より
五十嵐きよみ  教会に満ちるひかりとたわむれるごとオルガンの音色が響く
079:帯 より
柳めぐみ  お祭りに行こうと突如誘われてオフィスでググる帯の締め方
078:査 より
すずめ  始まりを目指し飛び立つ探査船よも還るまじ猿の惑星
077:転 より
黒崎立体  転調をくりかえす水 ビー玉はどこまでも行きどこにもいない
076:桃 より
みずき  櫻桃(さくらんばう)ふふみ木蔭の揺り椅子に六月の夢揺らしてをりぬ
075:溶 より
壬生キヨム  溶けなくて良かったきみの固まったこころはとても美しいから
074:無精 より
ワンコ山田  誰のため隈なく保湿していると知ってのことかこの無精ひげ   
073:庫 より
あみー  運転の免許が車庫入れ限定でいつも車庫から出しては入れる
矢野理々座  どうやって入れたんだろう狭い車庫それよりどうやって降りたんだろう
072:狭 より
じゃこ  狭いのはお前のせいと言いたげな顔がひしめく満員電車
071:籠 より
梅田啓子   籠耳になりゆくわれはそのかごに花眼のはなを挿してやりたり
070:芸 より
みずき  芸の道、はた美意識の中に置くバレエ‐シューズの蒼きゆふぐれ
069:カレー より
黒崎聡美  パーキングエリアは夜の片隅でカレーライスを食べる男たち
068:巨 より
さとうはな  極東のつきのひかりを浴びて立つアフリカ象はさみしい巨人
067:鎖 より
久哲  虹色の油光も美しい蔦屋重三郎の手鎖
066:息 より
今泉洋子  もう永く生きてゐますと大楠の息嘯(おきそ)のごとく青葉が揺れる
065:酢 より
風橋 平  悲しくてやりきれないか自問する冷えた酢豚のパックを開けて
064:志 より
さくら♪  この先も千年続く謎であれ余白に書いた魏志倭人伝
063:久しぶり より
芳立  みづがきの久しぶりだな都鳥むかしのひとのことは問ふなよ
062:軸 より
莢豆  今日もまたあの日たまたまいた牛が世界の軸を乗っけて歩く
061:企 より
桑原憂太郎  やうやつと網にかかつた情報をつなぎ合はせて企画書を編む
060:プレゼント より
nobu  知らぬままプレゼントした紫陽花の今にして知るその花言葉
059:貝 より
ワンコ山田  犬に訊く二人が貝になってもう話題にしない幾つかのこと
058:涙 より
穂ノ木芽央  熱風に涙も乾く昼下がりコインの裏が出たから西へ
057:紐 より
新藤ゆゆ  おさいふの紐をゆるめる天才の三歳児から学ぶ女子力
056:晩 より
砂乃  こっそりと箒を逆さに立ててても晩御飯までねばる小姑
055:きっと より
西中眞二郎  次回にはきっと出ますと約したる会の日取りがまた近付きぬ
054:武 より
久野はすみ  いにしえの武具馬具武具馬具三武具馬具博物館をゆっくりめぐる 
053:渋 より
鮎美  忌中札片付けられて軒先に渋柿のなき秋の来にけり
052:世話 より
新藤ゆゆ  ベランダのジャングルの世話あきらめて次のえものを探す通販
051:囲 より
南葦太  徒夢を範囲指定で削除する右クリックが微妙に不調
050:活 より
吾妻誠一  曝された私生活など今は無くネットデブリのジグソーパズル
049:敷 より
久野はすみ  海ほどの大風呂敷を広げなさいそうしてしあわせになりなさい
048:謎 より
久哲  深読みを避けて通った改行にちんまり座る謎々娘
047:ふるさと より
ゆら  この町を出た友(ひと)の言う「ふるさと」はやわらかき音しており 夕べ
046:犀 より
黒崎聡美  葉の奥に闇を抱えてまたもとの寡黙にもどる金木犀は
045:罰 より
穂ノ木芽央  いつの日かくだる天罰蜩(かなかな)の骸乾きて掃きすてられし
044:ドライ より
南葦太  ネガティブな文脈だけにあらわれて突き抜けていくドライブボレー
043:輝 より
希  輝きは永遠なんて約束はいらないけれどダイヤはほしい
龍翔  輝いているのはダイヤモンドです 全く以てあなたではない
042:稲 より
はぼき  水泳の授業のあとの教室は収穫を待つ稲田にも似て
041:喫 より
南葦太  漫喫のかそけきイージーリスニング 蹉跌とは温まりゆくコーラ
040:勉強 より
ほたる  ふるさとの勉強机の中にまだいるかもしれない架空人物
039:蹴 より
原田 町  石蹴りの陣地を描きしはこのあたり高速道路に空塞がれて
038:的 より
紗都子  詩的にはならない言葉ならべつつ真空パックに鋏を入れる
037:牙 より
やや  この指を噛み切るほどの牙を持つ犬の純情「待て」と言われて
036:右 より
久哲  調べてはいないがたぶん案山子なら右肩上がりタイプが多い
035:むしろ より
佐竹弓彦  虚無的と言うならむしろ秋の日の体重計の上の沈黙
034:聞 より
すずめ  相聞のあだ空ごとを真に受けて閨の帳によばう月かも
033:滝 より
富田林薫  大切な話のような談話室滝沢までの地図を見つめる
032:詰 より
五十嵐きよみ  問い詰めて何が解決するのやら消え入りそうな昼の半月
031:大人 より
鮎美  大人とはこんなものかと思ひつつちりんどろんを温め直す
030:敗 より
稲生あきら  失敗は成功の母と言うけれど事態はもはや黒焦げのパン
029:座 より
佐竹弓彦  独吟の愉悦 土星の輪の上に月の座だらけの歌仙一巻き
028:脂 より
黒崎聡美  皮脂のない体のような人々がよく散歩する小説を読む
027:損 より
梅田啓子  逐電をし損ないたる女いて二階の窓より通り見ており
久野はすみ  破損したパーツを買いに行ったきり四半世紀も戻ってこない   
026:シャワー より
芳立  二度高いシャワーを浴びてあきらめの悪さがたぎる土曜日の朝
025:触 より
小倉るい  霞みゆく氣車の尾灯(テール)を送りたり触れてはならぬ柔肌もある
024:玩 より
南野耕平  デパートの玩具売場で軍艦の模型を探す父は別人
023:必 より
杜崎アオ  必要な手もそうでない手もあげて風をとおしている脇の下
022:突然 より
ぱぴこ  準備して挑みたいのに重大な事に限って突然決まる
021:示 より
新藤ゆゆ  裏面に表示されてる成分にケンカを挑む午前二時半
020:劇 より
おかき  全米が泣いた劇的結末を鼻で笑って酒の肴に
019:そっくり より
古屋賢一   夢に似た声を刻んだ円盤に愛そっくりなお金を払う
018:希 より
もふ  なごやかに古希の祝いの更けてなおためらい残る抽斗の鍵
017:従 より 
西中眞二郎  リーダーも従うものも古希前後二月の午後の文学散歩
016:力 より 
壬生キヨム  いつまでも封印されし能力を信じてないで床屋に行けよ
015:図書 より 
鳥羽省三  萬巻の図書を収むる蔵に居て糊食む紙魚の幽き生よ
014:偉 より 
如月綾  教科書の偉人の顔に落書きをしながら耐える45分
013:逆 より 
久哲  どなたかの順風だった逆風に演出されたまま海に出る
012:眉 より 
青山みのり  今朝もまた目・眉・口と描き足してつまらぬ場所へ戦いにゆく
011:揃 より 
芳立  をしどりにみえぬ夫妻がくちばしを揃へてなじるわが独り身を
010:カード より 
磯野カヅオ  ちはやぶる神のみぞ知るオーダーを懸けて占ふ"ひょろっとカード"
009:程 より 
本間紫織  あどけない少女が蝶に変わりゆくための過程でほどくみつあみ
008:深 より 
五十嵐きよみ  一行の詩を綴りゆけ深々と大地に杭を打ち込むように
007:驚 より 
玉村 一  背骨から驚きましたと報告を受けて二月の恋を受理する
006:時代 より 
村木美月  山積みの課題をひょいと蹴飛ばして少女時代のリズムにのせる
005:点 より 
葵の助  百点のテストで折った飛行機の距離と滞空時間をはかる
004:果 より 
紗都子  果樹であることを証明できるまで偏西風にこの身をさらす
003:散 より 
Jingo  散らかした部屋を歌って片付ける片付けてまた歌い散らかす
002:隣 より 
希  隣家にも灯りがともる頃だろう暮れゆくまちにカーテンを引く
001:今 より 
ひいらぎ  今までと少し違った明日になる玄関先に新しい靴

2006/06/03  | trackback(0) | comment(0)


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