らくだはお気楽
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032:町 より

だれにでも居場所はあるというわりにさみしい町と路地が多いね
藤田美香 (あした、たとえば雨でいいから)

 これは、誰かしら居るはずなのに「さみしい」のか、「居場所はあるというわりに」誰もいなくて「さみしい」のか。
 一読の印象は前者。「誰にでも居場所はある」けど、その居場所に居ながらみんなさみしいんだね、というニュアンス。お互いに詮索しあわず、触れ合わず、ひっそりとした個々の生活があるだけ。えらく寂しい。
 でも、「町と路地」という措辞にはそれとは対照的なイメージがあるのよね。下町の賑やかさとか人付き合いとか。

 後者の場合は、ひとには居場所があるけど、町(と路地)は必ずしも「居場所」に当てはまらない、というさみしさか。
 ひとに居場所がない、という場合もえらく寂しいが、誰の居場所にもなれない町、というのもまた、えらく寂しい。廃屋どころか、町そのものが廃れている感じがする。
 
 うーん、でもなんとなく、この「町と路地」に人がいないようには思えないなぁ。住んでいる人のさみしさが町と路地に滲み出している、と読むほうがしっくりくる。

以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬称略


梅田啓子 (今日のうた)
町の字の田につき刺さる棒のありそこに生まれてそこに死にゆく

豆田 麦 (むぎごはん)
入道雲背負って走った海沿いにいい風が吹く ぼくらの町だ

鳥羽省三 (臆病なビーズ刺繍)
黒毛和牛一頭曳きて首を垂れ孟夏の町を戮されに行く

富田林薫 (カツオくんは永遠の小学生。)
こんなにもさびれた町のすみっこに赤いポストが笑顔のようだ

じゃこ (めくるめく)
ダイエーもツタヤも揃う町なのに田舎扱いされて切ない

紗都子 (羽うさぎの日記帳)
地平線より湧きあがる春がすみ記憶の町はゆるやかに立つ

ワンコ山田 (歩道を走る自転車のこども)
「おしゃべりな空だ」(両腕さし伸ばす)プラネタリウムがある町に来て

伊倉ほたる (ほたるノオト)
雨の日は灰色になる町にいて足に合わないヒールを磨く

冥亭 (《冥亭倶楽部》a darkside on the earth)
狐町犬町猫町狸町 たれそ棲めるや天使突抜(てんしつきぬけ)

市川周 (ミルミルを飲みながら)
定型の不倫がひとつ町役場(竹脇無我に似ている課長)

星川郁乃 (Air Station)
この町の空に足りない色を塗るようにローソン・ブルーは殖えて

佐藤紀子 (encantada)
なつかしき紙の匂ひに満ちてをり 神保町の古書店の奥

希 (短歌ブログ・アブラカダブラ!)
町かどにそっと忘れてくるような嘘ならついてほしくなかった

子帆 (ことばのくに)
町内の地図をはがしてパズルにし東さんちにうちをはめ込む

山階基 (赤・緑)
麦わらの帽子が町を覆う頃みるみる育つ空き地の土管

小林ちい (ゆれる残像)
町中に秋降りてくる一斉にけやき並木の葉を踊らせて

2012/10/14  | trackback(0) | comment(0)


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