らくだはお気楽
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100:終 より

なにか告げ忘れたことがあるように季節の終わりをはぐれとぶ蛍
野樹かずみ (告げ忘れたこと) (現在 ) 

 終のお題のなかで、終わっていない感があるこの歌を一首選に。
 「なにか告げ忘れたことがある」のはべつに蛍ではなくて作中主体だろうが、自分でもよく分からない忘れものだから蛍が教えてくれようとしている、のだろう。
 季節は終わるのに、何を忘れているか思い出せないと次の季節に入れない、そんな宙ぶらりんな不安感がある。「はぐれとぶ蛍」だけに、猶予がなくて焦る感じがする。
 
 惜しむらくは、下の句の音が八八なのでリズムが妙にもったりすること。
 字余り字足らず句またがりなどまるで平気だが、語呂というのは結構重要なのだ、と300題読んできて思うのであった。(エラソー^^;

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2010/11/13  | trackback(0) | comment(0)


099:茶 より

赤箱のイヴ・サンローラン吸いながら明日をみていた御茶ノ水駅
霰 (徒花日記)

 回想として御茶ノ水が出てくる場合は、学生時代の思い出だと思う。
 「明日をみていた」というのは、夢見ていたというよりは、ぼんやりとしか考えられない将来を、それでも考えなければならない学生時代の焦り、という雰囲気がある。
 「赤箱のイヴ・サンローラン」は、人によってそれぞれ変わっていいが、主体が女性ならやっぱりそれらしい洋モクの方がいかにも感が出る。学生の分際でそんな煙草を生意気に吸っていた、という感慨でもあり、或いは煙草を吸うきっかけとなったひと(恋人でも友達でも)の思い出に繋がるようでもあり。

 「御茶ノ水」に似たような感慨を持たない読者にとってはあまり意味のない歌かもしれない。私だって別に御茶ノ水に通学していた訳ではないが、なぜか素通りできない地名なのだ。

2010/11/13  | trackback(0) | comment(0)


098:ベッド より

ベッドから落ちないように抱きしめてくれた腕だけ戻って欲しい
詩月めぐ (かじられちゃったお月様)

 彼と別れて、しみじみひとりを実感する歌。
 彼はいらないのね^^;腕だけあればいい。
 「抱きしめてくれた腕」はとても快適で安心だったんだろう。彼と別れて寂しい気持ちより不便さを訴えるというのが、なんとも。
 まぁ、現実にベッドから落ちるわけじゃないんだろうから、実は強がっているだけで、「腕だけ」じゃない本音が隠れていると思う。

2010/11/13  | trackback(0) | comment(0)


097:話 より

眠れない子の寝返りで続く旅おとぎ話は夜つくられる
ワンコ山田 (歩道を走る自転車のこども)

 「おとぎ話は夜つくられる」、ぐっと来ました。
 この場面は、お父さんでもお母さんでもいい。ホントは寝なきゃいけないんだけど、眠くない子に寝ろったって寝やしないんだし、しょうがないからお話をする。
 既製の話でなくて、その時浮かんだ適当な筋書きでどんどん進めていくから、話している親も話がどこへ向かうか分からない、そんな適当さが大事。子どもは理屈抜きで楽しい話が好きなんだから。
 起承転結だの、昨日の晩とつじつまが合わないだの言う子どもだったら、そもこの歌のような場面は起こり得ないから大丈夫。
 難点は、適当なところで寝てくれればいいけど、なまじ面白かったりすると目が冴えて全然寝てくれないこと……^^;?
 子育てって大変だなぁ。

2010/11/13  | trackback(0) | comment(0)


096:模様 より

受け容るる如く彼方を仰ぎ見る冥王星の空模様かな
小籠良夜 (《冥の逸脱》) (《冥亭倶楽部》 the snow-ball planet

 作者のブログタイトルにもあるように、この年だったか、冥王星は惑星の座を追われました^^:
 というわけで、冥王星追悼歌(死んでないっ!
 別に、地球に住むセコい生物の世界で「惑星」と呼ばれようが「準惑星」と呼ばれようが知ったこっちゃないわよねぇ。変わらず星は存在するわけで。
 まぁ、名前を変えられたりしなくてまだ良かった。
 

この天体に使われた名前はローマ神話で冥府の王であるプルートのことであり、太陽系最深部の暗闇に存在する冥王星のイメージを象徴している。(ウィキペディアより)


 ということなので、近づいてこない限り意味は変わらないし。(え
 というわけで(何が^^;
 冥王星は人間の勝手な扱いも「受け容るる如く彼方を仰ぎ見る」のであるが、もちろん、仰ぐのは人間でも地球でもなく太陽に決まっとるのだ。

 冥王星に「天気」が存在するかどうか分かんないけど、まぁ皮肉として、ちょっとくらい涙するかな、という意味の「空模様かな」と受け止めた。

2010/11/06  | trackback(0) | comment(2)


095:裏 より

うつつの夢失ひたれば裏木戸を通りをんなは愛に殉ずる
夜さり (夕さり夜さり)

 うわ~、足抜けか!?
 最近は時代小説ばかり読んでいるので、すかさずそう思った。
 「をんな」が郭の女郎であれば、「うつつの夢」は通ってくる愛しい男との逢瀬であり、男そのものでもある。どんなに惚れても一緒になれるわけじゃないからまさしく「夢」である。
 「失ひたれば」「愛に殉ずる」ということは、男が死んでしまったか男が二度と来なくなったか。ふらふらと「裏木戸を通」った後は川にでも身を投げるしか術はない。いずれ捕まって連れ戻されたところできつい仕置が待っているわけだし。
 
 ただ、吉原なんかだと出入は大門だけだったような……他の岡場所だとどうなんだろう。
 「裏木戸」があるのかどうかよく知らないので、ない場合はまた別の読みを考えなくちゃ(おぃ!

2010/11/06  | trackback(0) | comment(0)


094:社会 より

社会科の教科書にいる黒船に眼鏡と髭を飾る 快晴
やすまる (やすまる)

 この罪の無さにほっとしてプッと笑ってしまったので一首選に。
 「飾る」って、落書きでしょう^^;
 外は「快晴」、ぜったい昼食後の5時限だと思う。退屈なのよ。
 「黒船」に「眼鏡と髭」というセンスが好き。

2010/11/06  | trackback(0) | comment(0)


093:祝 より

不祝儀の仕出しの膳を片付けて茶碗をすすぐ頃に涙が
佐原みつる (あるいは歌をうたうのだろう)

 そうなんだろうな。
 葬式って裏方はやることが一杯あってばたばたしている。忙しくしている間は泣く暇もないが、一段落して弔問客も帰った頃、一人になって初めて哀しみがこみ上げてくる。
 亡くなった人は主体の父親かなぁ。なんとなく母親とは違う感じがした。娘でなく嫁だともうちょっと質が違うように思えるし、離れた親族だとこういう哀しみにならない気がする。

 あるいは、不謹慎な読みとしては、亡くなったのは男性で、主体は勤め先の同僚、もしくは部下(あるいは師弟関係というのもあり)で、不倫もしくはひそかに慕っていた。そういう立場だと、葬式の手伝いに来て不思議はないし、人前で泣くわけにもいかないし。

 ……あんまりドラマを作らない方がいいかしらん^^;

2010/11/06  | trackback(0) | comment(0)


092:ホテル より

さむがりのたましいたちを宿らせてけやきホテルの夜が明けてゆく
笹井宏之 (【温帯空虚】)

 あったかそう。
 けやきの木って大好き。落ち葉が嫌われる上に丸裸になっちゃう冬も。
 大きなけやきの木の中にほこっと一晩もぐりこんで寒い夜をやり過ごす「たましいたち」。たくさん寄り添うように宿っているからけやきもほっこり暖かくなる。
 「宿らせて」という言葉が「たましいたち」と「けやきホテル」をそんな景色に結びつける。
 普通のホテルと人間の景色として読むのはもったいない気がした。
 優しい絵の絵本を読んだような気分。

2010/11/03  | trackback(0) | comment(0)


091:命 より

たましひの虚ろを浮かべ始めたる母の命のカウントダウン
夜さり (夕さり夜さり)

 認知症は「たましひの虚ろ」、なるほどなぁと思った。
 命ある間、もちろん肉体は生きているんだけど、少しずつたましいが抜けていって、最後の抜け殻は生きているのか、それともたましいが空っぽになったら死なのか。
 妙に冷たく突き放したような詠いぶりだが、その裏に他人には分からない家族の悲しみがある。それに、息子でなく娘だからこそ冷静、なのかも。見え始めた死期と、それまでの短くない介護の年月。ある程度覚悟はしていたけれど、とうとう来たか、そんな本音もあるのでは。

2010/11/03  | trackback(0) | comment(0)


090:質問 より

やむをえず私は春の質問としてみずうみへ素足をひたす
笹井宏之 (【温帯空虚】)

 妖精のような女の子をイメージした。
 最初読んだとき「みずうみ」そのものへの「質問」という感じを受けた。
 「みずうみ」では返事がないから「やむをえず」「素足をひたす」、<入ってもいい?>でもいいし、<もう冷たくない?>でもいいし。
 だから、「春」が一番ふさわしい。秋だと入水しそうだし、冬だと冷たくて「素足をひたす」どころじゃないし、夏だと今度は、ザブザブ泳ぎたくなるし。
 「やむをえず」なので一見否定的な答えが出てくるような雰囲気もないではないが、全体的に浮かんだイメージは、明るくて暖かくて優しくて静かな森の中、なのでやっぱり、水温む春の湖は波も立てず穏やかに無言で是と応えたに違いない。

 そんなわけで、「質問」の相手が人間という読みはしないことにした。

2010/10/31  | trackback(0) | comment(0)


089:こころ より

ちりぢりのこころが泣けば春秋を閉ざしをんなが成るストーカー
夜さり (夕さり夜さり)

 こ、こわい。
 ひっそりと「をんな」が「ストーカー」に変身する瞬間である。
 「春秋」は、年月でも年齢でも、あまり大きく違わないと思う。「春秋を閉ざし」たことで時間の概念を捨てた、という意味合いだろう。なるほど「ストーカー」には今現在しかない、のかも知れない。
 それでも、「ちりぢりのこころが泣」く「をんな」であれば、なんだかひどく哀れである。
 もちろん、今時はストーカー行為自体は許されない犯罪だが、この歌の「ストーカー」というのは恨みがましく男を追いかけてしまうおんな、ということだと思う。

 単純に思い浮かんだのは六条御息所。
 四六時中見張っていたわけではないが、生霊になって飛んでいくわけだから同じである。まさにあの時代の「ストーカー」だ。
 
 ……やっぱり、こわい。

2010/10/31  | trackback(0) | comment(0)


088:暗 より

帰り来て暗き鍵穴さぐるときほのかに香る木犀の花
近藤かすみ (気まぐれ徒然かすみ草)  

 「ほのかに香る」からギンモクセイの方だろうと思いつつ調べたところ、単に木犀というときはギンモクセイを指す事が多い、とのこと。さらに、金木犀はギンモクセイの変種だって。
 残念ながら、私はギンモクセイを見たことがなく匂いもしらないが、金木犀ならもう離れたところからでもたっぷり香るから、この歌にはちょっと当てはまらないと思うので、ギンモクセイということにする。
 「ほのかに香る」ほどの控えめな匂いで、かつ、暗闇だからこそ、ふっと香るのだろう。主体は、昼間出かけるときは、見えていても(あるいは探せばみつかる程のところにあっても)気がつかなかったのだ。
 人間の感覚っておもしろい。敏感であり鈍感でもあり。

2010/10/31  | trackback(0) | comment(0)


087:テープ より

志ん生の落語のテープを夫と聴き昨日と同じところで笑ふ
佐藤紀子 (pocoapoco)  (現在 encantada )

 このお題で、カセットテープを詠んだ人はある程度以上の年齢と思われる。(失礼な^^;)
 で、この歌。
 そういえば、落語というとなぜかテープ、のイメージがある。
 夫婦そろって落語を聞いていて、同じところでふたりして笑う、こんな健やかなことはない。
 「昨日と同じところで笑ふ」、これぞ落語!ですね。二日続けて聴いても面白くて、昨日笑ったところでやっぱり今日も笑う、もう落語ならでは。
 いいねぇ。
 こういうことがホントにすごいことだなぁ、といい年になってようやく分かってきた。

2010/10/30  | trackback(0) | comment(0)


086:石 より

石になる覚悟ならもうできていてあなたの髪に手をさしいれる
ひぐらしひなつ (エデンの廃園)  

 おお、メデューサ。
 メデューサは海神ポセイドンの愛人だそうです。
 で、この歌。
 何度読んでもやっぱり、主体は女のイメージなのよね~。で、勝手読みとしては、「あなた」とこうなったからには誰かに「石に」されてしまう、あるいは(罰として?)「石になる」、その覚悟はある、と。もちろん「石になる」のは喩えだと思うが、「髪に手をさしいれる」とくればいやでもメデューサを連想してしまう。それが狙いなんだろうと思う。

 いずれにしても、やっぱりどことなく頽廃的な雰囲気と言葉の流れに惹かれてしまったのだった。(あら?つい先にもひぐらしさんの歌で同じことを……^^;

2010/10/30  | trackback(0) | comment(0)


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