烈しさを見送り秋の机には白紙のままの手紙がのこるひぐらしひなつ (
エデンの廃園)
夏の「烈しさを見送り」迎えた秋、この時点では、まだ穏やかとはいえない気がする。
「白紙のままの手紙」とは「烈しさ」の後の空虚を表しているのだと思う。
「手紙がのこる」ということは、秋になって書こうとしたものではなく、まだ「烈しさ」(=夏)の中にいる時に書こうとして書かないまま、あるいは書けないまま、終わりが来てしまったのだ。
やっぱり恋の終わり、かな。
夏から秋へと移る季節のイメージとしてはありふれているが、だからこそ誰もが何となく分かる感覚なのかもしれない。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
中村あけ海 (庶務課中村が承りました)
激烈な昭和を生きた会長のかつらの下に眠る銃創
伊藤夏人 (やわらかいと納豆2010)
反省はしないけれども取り急ぎ烈火の如く怒って欲しい
菅野さやか (あの夏飛行機が落ちるまでずっと)
教室のなかに熾烈な戦いがあるの負ければ奴隷になるの
梅田啓子 (今日のうた)
綿綿とながれゆくのか母からの烈しきものは我に娘に
南葦太 (「謙虚」という字を書けぬほど)
烈火でも劫火でもなく君のため暖炉にともる情熱であれ
ちょろ玉 (ちょろ玉のコトダマラソン)
熱烈なラブコールごと振りかぶり野球の道を左に曲げる
虫武一俊 (無足場ワンダーランド)
強烈に誰かへむかう正義からのがれてものがれても自己嫌悪
穂ノ木芽央 (白紙委任状)
埋めたる烈なるものがちろちろと舌を出すから逢ひたくないの
市川周 (ミルミルを飲みながら)
苛烈なるニーズの果てに「飲むラー油」(「食べないラー油」とか「観るラー油」)
五十嵐きよみ (NOMA-IGAオペラ日記)
痛烈なことばの意味を骨抜きにするゆるゆるとした節回し
斉藤そよ (はなやかなみず)
帰れなくなるかもしれぬ猛烈な吹雪をじっとみていたい午後
bubbles-goto (DRIBBLe HoUR)
ひび割れた声轟かす街宣車車列に「烈」の文字のイガイガ
イノユキエ (十月堂)
強烈な一撃だった廃墟ひとつ従え赤く咲くアマリリス
2012/04/23 | trackback(0) | comment(0)
ほこらしくかつあほらしくそそりたつ夕焼けた顔を此方に向けてやすまる (やすまる)
どこぞの偉人の銅像だろうか。
「ほこらしく」というからには、その地の人に一応は敬われて建ったものだろうが、「かつあほらしく」しかも「そそりたつ」とくれば、主体はさほど銅像となった偉人を敬っているとも思えず。
あるいは、箱物行政の流れとして、たいした業績もないが歴史に名が残っている人物の銅像を造った自治体に対して、納税者として苦々しく思っている、とか。
この歌を読んで真っ先に思い浮かんだのは上野の西郷像だった。
薩摩出身でもないことだし、ましてや新選組!の後は薩長と岩倉具視が大嫌いになったので(おぃ^^;、「かつあほらしく」と言う部分で、そうそう!とうなづいたですよ。
銅像でなくて建築物ということもあるなぁ。あ、銅像も建築物か。(←ばか丸出し
建物といって「かつあほらしくそそりたつ」となると……都庁だな、やっぱり。この場合、「ほこらしく」というのは当時の鈴木知事の「自己満足」に他ならず。そしてやっぱり納税者としては、苦々しい限り。
先日できたスカイツリーは、なんとなくこういう感情にはならないんだなぁ。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
鳥羽省三 (見沼田圃の畔から)
琉金の四つ尾かすかに揺れてゐて棄教者われは夕焼けを病む
八朔 (I am still here ... われひとりゐて)
我が裡に色づくものの衰えてふいに冷えたり夕焼けの空
小早川忠義 (Just as I am Returns)
真昼なる八王子駅に鳴り響く「夕焼け小焼け」大音量にて
さかいたつろう (流星文庫)
夕焼けをバックに好きだという君のセーラー服が燃えだしている
nnote (白い箱から)
謝ってしまいたかった夕焼けに缶コーヒーは冷えてゆくだけ
冥亭 (《冥亭倶楽部》 the snow-ball planet)
夕焼けの赫きに映ゆる街並を見下ろす舟に火を放つノア
佐藤羽美 (hinautamemo)
遠慮なく夕焼けは来て僅少の文芸部誌を溶かしてしまう
振戸りく (夢のまた夢)
空だけじゃなくて空気が夕焼けの色に染まっているようでした
春待 (三感四音)
夕焼けに染まる校舎の内側はもう戻れない青春の日々
わだたかし (ファミレス短歌)
夕焼けの「焼け」の部分を取り出して今日の肴の準備をしよう
遠藤しなもん (忘れちゃった。)
逆上がりで見た夕焼けはこんな色 どこかでごはんの匂いがしてた
村本希理子 (きりころじっく2)
つぎつぎと発火する窓 夕焼けの空を巨きな船底がゆく
田中ましろ (ましたん)
夕焼けが終わってしまう 帰る場所をまだ決めかねている君と僕
kei (シプレノート)
石蹴りの石と一緒に夕焼けの薄い欠片を拾い集める
ほきいぬ (カラフル★ダイアリーズ)
夕焼けの空をめくると現れるまぼろしカフェの紅茶のシフォン
柚木 良 (舌のうえには答えがでてる)
夕焼けが東からさす部屋でした かわりに猫はいませんでした
2012/04/23 | trackback(0) | comment(0)
小説のなかに出てくる旅びとの三度の飯のことが気になる夏実麦太朗 (
麦太朗の題詠短歌)
ふふふ、そう、優れた作家は食べるシーンを適度に織り込むものです。しかも美味しそうなのです。
鬼平なんて、食べ物で何冊も本が出ているくらいだし。
最近読み返した
「精霊の守り人」シリーズでは、まさに主人公バルサは「旅人」で、いろんな国のいろんな食べ物と食事風景が出てくる。戦うバルサは三度々々食べられるわけじゃないあたりも、ほどよいタイミングで食事にありつくという、作家の腕が偲ばれる物語。
小説でもミステリーなんかだと、謎解きが楽しみな時は食事なんてどうでもいい、と私なぞは思ってしまうので、「気になる」場合と気にならない場合がある、のかなぁ。
多分、人物像をどれだけ生身の人間として読みたいか、ということなんだと思う。
この歌では、「旅びと」だから日常としての食卓から離れているわけで、時間の流れも非日常だとまたいろいろ想像してしまうもので、そういう意味でも「気になる」んじゃなかろうか。どの程度重要な人物かにもよるので一概には言えないが、この歌の「気になる」は、すごく感情移入して心配している、というよりは、どうしてんだろう?くらいの軽い疑問、という感じがする。
で、「飯のことが気になる」といえば。
いっときマイブームだった「24」など最たるもの^^;
ジャック・バウアーはいつ食べてるんだ、というか、いつ寝てるんだ、いや、寝てないとしてもいつトイレ行ってんだ、というような話で大笑いした覚えがある。(だいたいあの携帯はなんで電池切れしないんだ!)
まぁ、あのドラマは、話の先をドンドン知りたいジェットコースタードラマだから、ジャックがのんきに飯なんか食ってたら逆にヒンシュクものではある。(だから、カロリーメイトが提供CMだったのよねん)
……あ、またあさっての方向に……(そればっか^^;
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
中村あけ海 (庶務課中村が承りました)
湯につかり社員旅行がヨーロッパだった時代の話など聞く
西中眞二郎 (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)
本郷の古き旅館に灯の点きて客あるらしく笑い声する
龍庵 (ぶらつくらずべりい)
とんびでも寝ぐらに帰る夜の闇必ず旅は終わるから旅
中村成志 (はいほー通信 短歌編)
意に染まぬ旅もあるらん花散らし只直ぐに立つナガミヒナゲシ
草間 環 (前略草々)
旅人のことを見守る背後霊土地の神には頭を下げて
生田亜々子 (屏風と靴)
人体の上を旅してゆくようにツボと気脈の名を憶えゆく
揚巻 (揚巻の「題詠blog」)
真四角のたてよこたかさ真ん中で(ここからでたい)旅券を抱いて
佐藤紀子 (encantada)
良心は少し旅行に出しておき医者の禁じるケーキを食べる
牛 隆佑 (消燈グレゴリー)
ぼくたちは「なんにもない」がある町を探して旅にでることにした
市川周 (ミルミルを飲みながら)
お土産を届けるまでが猫の旅(机の上に瀕死のヤモリ)
久哲 (久哲の適当緑化計画。)
完全に地デジテレビのリモコンを理解するまで旅はできない
bubbles-goto (DRIBBLe HoUR)
「ひさしぶりだねこんなになんにもしない日は」雨の旅館で急須を揺らし
振戸りく (夢のまた夢)
かわいくはないけど旅をさせている子どもを駅に迎えに行こう
ひぐらしひなつ (エデンの廃園)
逸脱を夢見て朝のひだまりに旅行鞄を置く十二月
野比益多 (のびたんか?)
帰る場所ないまま旅を続けてる おかえりって誰か言ってよ
豆野ふく (それゆけ!だいふくもち)
行く当てもないのに昨日買ってみた旅行鞄にあしたを詰める
2012/04/17 | trackback(0) | comment(2)
マネキンが秋冬物に衣替えしてバカンスももうすぐ終わる五十嵐きよみ (NOMA-IGAオペラ日記) (現在
111.31KV620日記)
ファッション界は季節先取り。
ウィンドウを見ている主体はサマードレスなど着ているのかもしれない。そんな主体の目には、秋冬物のマネキンはまだまだ暑苦しく映っていることだろう。
それでも、確実に夏は終わったと、マネキンの衣替えは告げている。
「バカンスももうすぐ終わる」という響きの中に、往く夏を惜しむ寂しさとともに、あるいはひと夏の恋も終わりを告げるのかもしれない、そんな心情も感じられる。
ヨーロッパの街並みが目に浮かぶ、そういう佇まいの歌。かっこいいなぁ。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
西中眞二郎 (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)
灯の点きしビルを背にして冬枯れの欅の古木泰然とあり
夏実麦太朗 (麦太朗の題詠短歌)
横暴な真冬をやり過ごす為に一二三四五枚着ている
船坂圭之介 (kei's anex room)
風葬の果つる姿や 高周波受診アンテナ冬へ傾く
佐藤紀子 (encantada)
竜宮の冬の窓より見上げれば雲の如くに氷塊が浮く
羽うさぎ (羽うさぎの日記帳)
冬ざれた街にあかりを灯すように赤いコートで背筋をのばす
野州 (易熱易冷〜ねっしやすくさめやすく、短歌編)
乗換えの列車待つ間の長ながし冬の旅ならホッターを聴く
ゆき (ひたぶる君を)
冬草の離(か)れゆくそなたに六つの花はかなはかなと舞ひてしやまむ
龍庵 (題詠blog2009 龍庵)
冬の昼、冬の海岸、冬の風、冬のポケット、冬の耳たぶ
ひいらぎ (ひいらぎのゆっくり短歌日記)
冬に会い冬にさよなら忘れてもいいようなことばかり残して
みなと (海馬)
何だもう冬ぢやないかと秋に云ふシマリスにでもなつたつもりで
酒井景二朗 (F.S.D.)
電飾の裏に囘りてライターを振れども點かぬ寒き冬なり
bubbles-goto (BIBBLy HoUR)
溶液に腐食していく銅版画冬の木立の枝あたりから
ひぐらしひなつ (エデンの廃園)
見送った日々は忘れず 冬を越えてきらめく喉をふるわせる鳥
星川郁乃 (Air Station)
冬に咲く花のあること咲かせたい庭があること 生きていること
久野はすみ (ぺんぺん100%)
冬枯れの庭に山茶花あるようにわが胸に咲くひとりのなまえ
2012/04/17 | trackback(0) | comment(0)
見なければないことになるわけじゃない 恐怖と名づけるほどでなくても青野ことり (
こ と り ご と )
目をそらせばなくなってくれるなら、人生楽なもんである。
世の中そんなに甘くない。
「見なければないことになるわけじゃない」と言う時点で、見えてしまっているのだから、「見なければ」というのは無理な話。この心理は、「見なかったことにしたい」ということだ。もちろんないことにはならないけど、なるべく傷つかないようにする一種の防御本能というか。
対人関係、金銭問題、健康問題、さまざまあるが、一度や二度は、こういう心理を経験しているもんです。
と、ここまで書いてきて、もうひとつ思い浮かんじゃった……
…………ワタクシの天敵、黒くて薄くて早くてヒゲが長くて……うえ〜〜〜〜!!!!!
これも、「見なければないことになるわけじゃない」ところが悲しくも可笑しい。
(この場合、私にとってはもはや恐怖ですが^^;)
……ただね、見えなければないことに「する」ことはできるのよ、個人の自由なのでね。(おぃ^^;
だから、私のいるところには出て来るなっ!!
……なんか、あさっての方向に……どうもスミマセン^^;
追記 4/15 (黒いのにそれた後で、しかも作者ご本人のコメントを頂いた後でナンですが……^^;)
「見なければないことになるわけじゃない」の読み方が浅かった。
「ないことになる」なら見なかったことにしたいけど、そうはいかないからには、立ち向かわなければいけない。ここは、怖いけど逃げない、という主体の意思表明なのだ。
ちゃんと咀嚼してから文章にしないといけませんね。反省。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
090:恐怖(髭彦)再投稿 (雪の朝ぼくは突然歌いたくなった)
―<自由民権運動の高まりにフランス革命前夜を見し岩倉具視の建白「府県会中止意見書」(明治十五年)を思ひて>
寸鉄を帯びざる民を恐怖にて戦慄させよと岩倉言ひき
子帆 (ことばのくに)
交番がKOBANになって黄金の国を維持してゆきたる恐怖
邑井りるる (山茶花街道)
表立つことが苦手な人たちの明るい恐怖もわかってあげて<りるを>
天鈿女聖 (うずめの花ビラ)
コーヒーを挽く音ばかり書いているスターバックス恐怖新聞
理阿弥 (車止めピロー)
蝶蝶に恐怖おぼえる遺伝子を授けた父よ 孫を見に来よ
佐藤紀子 (encantada)
死の恐怖すつと脳裏をかすめたり過呼吸発作に声も出せずに
牛 隆佑 (消燈グレゴリー)
ああ僕は何にもなれず死んでゆくそんな恐怖と横たわる午後
富田林薫 (カツオくんは永遠の小学生。)
昨日まで普通の街にゆっくりと恐怖の種が発芽してゆく
市川周 (ミルミルを飲みながら)
あじけなし恐怖新聞電子版(Flash Player 7.0以上)
bubbles-goto (DRIBBLe HoUR)
恐怖する少女の顔のおぞましく楳図かずおの描く豊麗線
田中ましろ (ましたん)
モノフォビア 取り残される恐怖にも慣れて呼吸が上手になった
わたつみいさな (あした、たとえば雨でいいから)
クレパスで恐怖に色を付けてみる羊の数の夜が瞬く
ひぐらしひなつ (エデンの廃園)
いささかの対人恐怖やわらかく萌して日曜日の山手線
2012/04/15 | trackback(0) | comment(2)
あしひきの山鳥の尾の長々とはなす人ありあんたつちやぶるみなと (
海馬)
あはは、「あんたつちやぶる」て!
「はなす人」は、主体にとっておとなしく聞いていないとマズイ相手なんだろう。
恩師、上司、近所のご隠居(え^^;、といった年長者もありうるが、なんたって「あんたつちやぶる」ですから^^;もうぜったい、奥様とか母上様とか姉上様とか叔母上様とか(おぃ^^;、とにかく角が出たらめんどくさい女性に決まっている。(近所のおばちゃんだともっとめんどくさい^^;)
主体は当たり障りなく、うんうんと聞きながら、逃げ出す切れ目を探っているんだろう。
可笑しいなぁ。
枕詞で五七と消費してしまう豪勢さは、川柳人ならでは。もちろん、結句「あんたつちやぶる」の一語でたっぷりという腕があるからこそ、ですが。
短歌って十分長いんだなぁ。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
船坂圭之介 (kei's anex room)
影長く寄らしめて樹は蒼空へ 我執とは斯くゆるがざるもの
梅田啓子 (今日のうた)
長女ゆゑ譲りゆづりて生きて来ぬおほきな苺は夫のくちに
穴井苑子 (猫のように純情)
もう長くないとは誰も言ってない ぬるくなってもジンジャーエール
冥亭 (《冥亭倶楽部》 the snow-ball planet)
カタカナの名も垣間見ゆ甲子園長き残暑も半ばゆきたり
五十嵐きよみ (NOMA-IGAオペラ日記)
水に濡れ乾かすたびにふくらんだ潮の香のする『長いお別れ』
こゆり (おかっぱ短歌)
秋の夜は長いと誰が決めたのか ワインに溶かす「帰りたくない」
本田鈴雨 (鈴雨日記)
午後の陽のぬくみ溜めたる板塀に長月花の白こぼれをり
久哲 (久哲の適当緑化計画。)
広告マンだった養父の形見からいかりや長介の名刺一枚
近藤かすみ (気まぐれ徒然かすみ草)
どなたかが剥いてくださつた甘栗を食みつつ長い手紙も書かず
村本希理子 (きりころじっく2)
ほんたうは治したくない傷もある ゆびさき長くいたみたもてり
bubbles-goto (BIBBLy HoUR)
死んで生き死んで生きまた本日も粗忽長屋に朝日が昇る
にいざき なん (改題「休まないで歩けとチーターが言ったから」)
長くなる首のせいかな最近は通勤電車がやけに冷たい
ろくもじ (タンカコタンカ 題詠篇)
光るはずないケータイを見つめてる 秋じゃなくても夜は長いね
志井一 (日記ホプキンス)
そこにいる社長の前を通らなきゃ帰れないのが中小企業
2012/04/15 | trackback(0) | comment(0)
グルグルと泡にまみれて廻ってる 戦い終えた今日のYシャツわだたかし (
ファミレス短歌)
今日も一日お疲れ様!
ドリンク剤のCMみたいだが、「戦い終えた」シャツとそれを着ていた人には、そう言ってねぎらってあげたい。しかも、帰ってきてすぐ、ちゃんと洗濯するなんて偉いじゃないの。
シャツを着ていた人は風呂入ってビールでも飲んでTV等見ている向こうで、洗濯機が一人ゴーゴー回っている。
あるいは、ものすごく疲れて帰ってきて、洗濯機を回したのはいいが蓋も閉めずにぼーっと回る洗濯物を見ている、そんな放心状態とも読める。
まぁ、今どきは全自動だろうし、寝ちゃったってちゃんと洗い終わるから大丈夫。
ゆっくり休んで、また明日がんばってね。
おやすみなさい。
(まさか、すぐ干さないと明日着るものがないとか言わないでね^^;)
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
松木秀 (わたしよきみの風景であれ)
釣り船の近くに泡の浮き上がり人魚姫また一人消えたか
夏実麦太朗 (麦太朗の題詠短歌)
鶏卵の黄身はつぶされ納豆へ白身は泡立てられてケーキへ
髭彦 (雪の朝ぼくは突然歌いたくなった)
食ふもよし吹かせるもよしなべて世は泡うたかたに満ちてしあれば
時坂青以 (ふじろぐ)
泡立て器手加減もなく投げつけて隙間にあったものが張り付く
新井蜜 (暗黒星雲)
石鹸をよく泡だてて顔に塗るとても悲しくなつたときには
佐藤紀子 (encantada)
雪消えて緑かがやくゲレンデに泡立つことく野の花が咲く
晴流奏 (晴流奏の題詠blog)
はにかんだ君を見つめる目の奥でラムネみたいに泡立つ心
南葦太 (「謙虚」という字を書けぬほど)
今もなお僕は汚い 石鹸の泡に流れし14の心
牛 隆佑 (消燈グレゴリー)
メレンゲは見えない泡の固まりでそれは何だか僕らのようだ
富田林薫 (カツオくんは永遠の小学生。)
気がつけば泡の世界の片隅に金魚のように暮らしています
高松紗都子 (羽うさぎの日記帳)
産声がさざ波たてる海に来て泡立つものをかぞえて帰る
久哲 (久哲の適当緑化計画。)
手だけ来て冬の岸辺で未明から手紙の束を泡にしている
今泉洋子 (sironeko)
嫌はれてゐとも知らず高々と泡立草は黄の花掲ぐ
振戸りく (夢のまた夢)
大きめの泡立て器には金色のオーラを放つのがあるらしい
2012/04/01 | trackback(0) | comment(0)
ねえ先生 テストに出ないことばかり大事にしたいような空だねこゆり (
おかっぱ短歌)
学生のうちからこの感性はすばらしい。
本当は、「先生」が生徒にこういうことを示すべきなんだろうね。
でも、この主体と並んで空を見ている先生なら大丈夫か。
なにか悩んでいる主体を外に連れ出して、空を見てみろと促したのかも知れない。
ま、先生としてはテストに出ることも大事にしてもらいたいかもしれんが、そこはそれ、大人としては、子供がこんなふうに感じる心を大事にしてあげないといけない。
具体的に何なんてどうでもいい。
空を見てそう感じる、そこが大事。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
みずき (空)
答へ無きテストのやうな一枚が二人の夢へひらひらと舞ふ
小早川忠義 (Just as I am Returns)
接客に男らしさは不要にてテストステロン体に流る
ジテンふみお (雲のない日は)
歌にして乾き具合をテストする白と限らぬ修正液の
冥亭 (《冥亭倶楽部》 the snow-ball planet)
漏洩はエラーにあらじ誰か待つ巨大震災テスト放送
さかいたつろう (流星文庫)
居残りで受けたテストを思い出す 離婚届に名前を書き込む
原田 町 (カトレア日記)
聴力をテストされおり耳奥にみんみん蝉の鳴きやまざれば
月下燕 (a swallow under the moonlight)
明け方に生えかわる羽よるべなくテスト飛行は夢のみぎわで
睡蓮。 (睡蓮。の隠れ家ブログ)
占いや心理テストをやりすぎて結局愛は努力で育つ
美木 (ヒネモスアフタヌーン2)
今はまだテスト期間ということで今日の食事はワリカンにして
村木美月 (うたりずむ)
神様のテストはいつもいじわるで答えはひとつとは限らない
葉月きらら (組曲を奏でるように・・・)
テストなら予習復習できるのに人生の岐路ころがす鉛筆
O.F. (O.F.)
中学の理科のテストで満点を取り損なった 貝はえら呼吸
ほきいぬ (カラフル★ダイアリーズ)
後ろから順に送って回収するテスト用紙の端に暗号
わらじ虫 (楽園 by わらじ虫。)
この問いにテスト用紙はないけれど答えを次の夏から選べ
ひぐらしひなつ (エデンの廃園)
あかつきのテスト飛行より戻りきて濡れたる銀のつばさをたたむ
2012/04/01 | trackback(0) | comment(0)
マニキュアを乾かすために起きている 電話を待っているのではなくtafots (
1年で1000首をつくる) (現在:
許せないなら許さなくていい)
同じ内容の歌がけっこうあったが、淡々としていて、でもミエミエの、そこが切ないこの歌を一首選に。
「電話を待っているのではなく」とまで言ってしまえば、読む者には丸見え。
まぁ、主体も分かっていて、自分を納得させるための言い訳というところか。
来ない電話。
とっくに乾いてしまったマニキュア。
きっと、気が済むまで重ね塗りするんだろう。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
西中眞二郎 (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)
採血に我が手をさする看護婦のマニキュアのなき爪の小さき
リンダ (題詠ブログ2010 ひなたdeリンダ)
マニキュアが乾く合間の拘束に女であるとしみじみ思う
鮎美 (Basso Continuo)
マニキュアを塗る夜は林静一の描く少女の横顔をして
櫻井ひなた (ひなごと☆24→25)
桜貝色のマニキュア買ったんだ。海へ還っていくような、ほら。
遥遥 (たんかのきりかた)
マニキュアるマニキュアらずばマニキュアれ五段活用などしてもみた
音波 (短歌のなぎさ)
人生は罪なのですか?弔いに備えて今夜マニキュアを塗る
帯一鐘信 (シンガー短歌ライター)
マニキュアにのせたうさぎと話してる君は不思議の国のアリスか
内田かおり (深い海から)
マニキュアの剥がれ始めた帰り道渚に忘れたものなど思う
市川周 (ミルミルを飲みながら)
マニキュアでチラシの裏に一茶かな(年金未納で聞く猫の恋)
bubbles-goto (DRIBBLe HoUR)
判を捺す箇所はこちらとさす指のマニキュアを見て兆す尿意よ
纏亭写楽 (ようこそ纏亭へ)
マニキュアはギターをつま弾く右の手にボサのコードは馴染みがうすい
宵月冴音 (銀星亭〜Villa Argentee D'Etoile〜)
マニキュアがうまく塗れずに泣いた日の雨の音さえ覚えています
2012/03/27 | trackback(0) | comment(2)
ちょっと糸お借りしますというような指の動きだ かぎ針編みは笹本奈緒 (
ニダンカイサセツ)
上手いこと言う。
かぎ針で引っ掛けるさまがなるほどそんな感じ。
しかも、編み方によっては、何度もすくったり、何度も同じ目のところをくぐったりするしねぇ。
実はちょっとじゃないんだけど、コマネズミみたいにせわしない動きがいかにも「ちょっと」っぽい。
棒針編みだと、「お借りします」というよりは、「ちょっとこっち来なさい」ってところかなぁ、なんて思いました。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
みつき (みそひと :: misohito ::)
編み込んだ「好き」の気持ちはほどかれたあとにやり場もなくうずたかく
チッピッピ (うたよみブログ)
ひと針に込める思いは気まぐれでだから編み目の長さが違う
理阿弥 (車止めピロー)
搭乗のアナウンスまで僕は僕のあなたはあなたの編集版で
龍庵 (題詠blog2009 龍庵)
思い出は編集されず唐突に再生される例えば風が
秋月あまね (予定された調和が見つかりませんでした。)
引力に見限られつつある夜に繕ってみる夏の掌編
西野明日香 (水の中のASIAへ(短歌な毎日))
筋書きは決まってたんだ 一編のそこにわたしがいてもいなくても
中村成志 (はいほー通信 短歌編)
縦横に編まれた呪詛でつつみこむメリノウールはやはり暖か
新田瑛 (新田瑛のブログ2)
この夜を生き抜くために溜息をつきながら見る短編映画
虫武一俊 (無足場ワンダーランド)
社史編纂室がどうして悪いのか人と会わずにすみそうなのに
酒井景二朗 (F.S.D.)
混迷の編輯會議拔け出して見上げた空にオリオンが立つ
都季 (31pieces)
ため息も見上げた空も編みこんで夜の帳はすとんと落ちる
近藤かすみ (気まぐれ徒然かすみ草)
滑らかに進む編み針の感触を楽しみつつ見る殺人ドラマ
帯一鐘信 (シンガー短歌ライター)
三つ編みがいらなくなった歳がきて同窓会は大蛇が集う
今泉洋子 (sironeko)
遺歌集を編む木染月(こそめづき)列島にからくれなゐの秋くだりゆく
bubbles-goto (BIBBLy HoUR)
書かれざる書物を集め編纂す 盲いた司書の午睡の夢に
久野はすみ (ぺんぺん100%)
断片におしろい花を貼り付けてただ一行のわれの掌編
里坂季夜 (コトノハオウコク)
ひとつづつ編み図のマスを埋めてゆく色鉛筆の芯のたしかさ
2012/03/27 | trackback(0) | comment(0)
本名を思い出せない同窓会 お蝶夫人は竜崎麗香振戸りく (
夢のまた夢) (現在:
夢のまた夢)
「エースをねらえ!」が青春ドンピシャの世代なら、この下の句に思わず釣られてしまう。
ええ、お蘭は緑川蘭子です。(聞いてない
主体は、「本名を思い出せない」相手を忘れているわけではない。顔を見れば浮かぶのはあだ名なのだ。
この場合どうなんだろう?
すごく仲良くて常にあだ名で呼んでいたとしても、すごく仲良しだったら名前が思い出せないってことはない、気がする。だから、あだ名だけ浮かんで本名が出てこないのは、あまり仲良しでもなく、しかもそのあだ名は見た目とか性格とか癖とか、当人にとってあまりうれしくないことにちなんだもの、じゃなかろうか。
ン十年も経つと名前どころか顔を見ても、こんな人いたか?ということもありうるところ、ともかく顔とあだ名は一致するだけ、認知されていたということでましなのか?
で、お蝶夫人である。
話に花が咲く中、マンガの話になる。主体の周りではきっと、お蝶夫人と言って分からない人はいないのだ。そして多分、ほとんどがお蝶夫人の本名も即答できるのだろう。
そんな話をしながら、この人なんて名前だったっけ?と考え続ける主体。
「エースをねらえ!」の中でも、お蝶夫人はずっとお蝶夫人で、名前で呼ぶのは父親だけだったなぁ。
待てよ。この歌の相手も、たとえばテニス部のキャプテンかなんかで、ついたあだ名が「お蝶夫人」なんじゃないのか? でもって一生懸命思い出そうとしても「お蝶夫人は竜崎麗香」。
そんな読みだとちょっと笑える。
どころか、下の句の効き目が全然違ってきて、かなり面白い。
まぁ、自他共に「お蝶夫人」で恥ずかしくない高校生なんてそうそういないとは思うけど^^;
……いや、仲間内の冗談としてならありうるな。省略して「お蝶」になっちゃえば本人もあんまり恥ずかしくないかもしれん。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬称略
みずき (空)
麗人はモディリアーニの細き首伏せて五月は鬱とささやく
アンタレス (思い出ずるままに)
端麗な男雛女雛に見入りつつ吾が心まで清しくなりぬ
髭彦 (雪の朝ぼくは突然歌いたくなった)
なにもかも加齢のゆゑと言はれては我等ご機嫌麗しからず
理阿弥 (車止めピロー)
孤独死のニュースを余所に小綺麗なロップイヤーが顔洗ひをり
鮎美 (Basso Continuo)
今生の別れと思ひ空仰ぐああ麗らかに降る天気雨
原田 町 (カトレア日記)
麗しく水たたへたる(あふみのみ)生老病死はこの世のことで
ウクレレ (ポケット短歌。−ウクレレ式短歌blog−)
昼下がり綺麗な文字の葉書来て香り華やぐダージリンティー
桑原憂太郎 (憂太郎の短歌Blog)
柔らかなチョークを使うA組の国語教師の流麗な文字
五十嵐きよみ (NOMA-IGAオペラ日記)
麗しい伯爵夫人のご機嫌をたちまち斜めに変える不作法
村木美月 (うたりずむ)
強いひと演じる時は隠し持つ手帳にはさむ美辞麗句たち
村上きわみ (北緯43度)
粛々と麗句連ねる外つ国のえらいひとからこぼれる火薬
O.F. (O.F.)
麗という字は鶏頭に似てますねうねうねとして過度に華美です
イノユキエ (十月堂)
しずかしずか水の滴る音でさえ吸い込んでいる高麗青磁
田中ましろ (ましたん)
似合わない言葉のひとつ華麗なる服がヴァージンロードに映える
野比益多 (のびたんか?)
綺麗だとよく言われてるあの人の心に誰も触れたりしない
ひぐらしひなつ (エデンの廃園)
澪つくし逢いにはゆけず高麗鴉の去りし水辺にゆらゆらといる
宵月冴音 (銀星亭〜Villa Argentee D'Etoile〜)
麗しきオットー殿下の命日に薔薇をあがなふ雨の花屋で
青山みのり (わざとじゃないもん!)
麗らかな春の符号をふりまいて次の街へとゆらぐそよ風
2012/03/25 | trackback(0) | comment(0)
からだごと空に溶け出したい気分 明日の朝は雨になるかも新田瑛 (
新田瑛のブログ2)
上の句だけ読むと、ウキウキ気分なのかと思った。
が、「雨になるかも」という結句は、涙を思わせる。わんわん泣きたい気分を「空に溶け出したい」と言っているんだろうか。つまり、自分が泣きながら空に溶け出したら、明日は雨になる。
あるいは、一字空きはきっぱり切れと考えて。
主体は、空に溶け出したいほどフワフワ幸せな気分で、それは少なくともきれいに晴れた空でないといやで、明日の予報としては雨なので、溶け出すなら今日、という。
うーん……
やっぱり、明日の雨は主体が溶け出した結果、というふうに読みたい。
つか、溶け出しませんけど^^;
今とっても泣きたい気分だから、明日は雨(になってほしい)、ということかな。
ゆっるい鑑賞でどうもスミマセン^^;
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬称略
マトイテイ (ようこそ 纏亭へ )
上々な気分で街を闊歩する黄色の風となりしエナメル
ウクレレ (十線譜)
なるようになるさハワイの空色の魔法をかけてウクレレ気分
佐藤羽美 (hinautamemo)
気分屋のお時間様があらわれて春を指先確認なさる
五十嵐きよみ (NOMA-IGAオペラ日記)
低音のコントラバスがふさわしい今の気分をあらわすならば
わだたかし (ファミレス短歌)
もうずっとなんか気分がよくないし金さえないし でも晴れてるし
都季 (31pieces)
どうしても悲しい気分になりたくて体育座りで夜を待ってる
磯野カヅオ (その時の主人公の気持ちを三十一文字で述べよ。)
顔役の馬場あき子氏に指し棒で厳しく咎められたい気分
近藤かすみ (気まぐれ徒然かすみ草)
まじなひのやうに目薬さしたれば夢のもつれの解けゆく気分
ワンコ山田 (歩道を走る自転車のこども)
いつになく君のお天気分刻みおおむね空は晴れているのに
nene (セイント☆オゼウサン かばんの中身ご開帳編)
そのやる気分けてくださいできるならこの世が終わるときまでずっと
佐山みはる (月待ち人の窓辺(題詠Blog))
つれづれに敗者の気分湧ききたる夜はひらたくなつて寝るべし
ひぐらしひなつ (エデンの廃園)
冬陽さすフェンスの裏で気分屋のあなたを待って揺らす前髪
青山みのり (わざとじゃないもん!)
気分よくねむりについたはずなのにどこかで棘が育ちつつある
鯨井五香 (くじら(独唱))
なぐりたい気分をなだめじっくりと舌先でパインアメをころがす
2012/03/25 | trackback(0) | comment(0)
にわか雨上がりし道の水たまり 歩みにつれて雲の流れる西中眞二郎 (
しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)
アスファルトの道路ばかりになって水たまりもなかなか出来なくなったが、まぁそこは想像をたくましくして。
まだまだ明るいうちに雨が上がって、水たまりに空と雲が映る。「歩みにつれて雲の流れる」のは足元に映る景色だ。
こんな時って辺りがものすごく明るく見えるんだよね。水面が空を映す鏡になっているんだから当然か。雨上がりのあとの青空と雲の混ざった空がとても明るく映る。
イメージがくっきり浮かぶんだから、昔見たはずだよなぁ、と思いつつ、短歌を作る段になると一向に浮かんでこないのが情けない。まぁ、浮かんだとしても、この歌のように衒いなくさらりと歌ってはじめて成功する質のものだから、そう簡単には作れません。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬称略
tafots (1年で1000首をつくる)
夜が明けて水たまりには青空があなたの目には彼女が映る
鳥羽省三 (臆病なビーズ刺繍)
潦(にはたづみ)と言へば何やら儚くて午睡の夢の水たまり越ゆ
新井蜜 (暗黒星雲)
干上がつた水たまり飛び越えてゆく僕らの前に漆黒の空
虫武一俊 (無足場ワンダーランド)
ねっとりと泡のはじけて水たまりの裏から今日が壊れはじめる
音波 (短歌のなぎさ)
秋雨が寂しい夜だ僕たちは二個の波紋が浮く水たまり
村木美月 (うたりずむ)
目の前の小石をよけてその先の水たまり踏むそんな一日
振戸りく (夢のまた夢)
水たまりだなんて油断していたら案外深いかもしれないよ
イノユキエ (十月堂)
異世界へ落ちそうな夜の水たまり踏めば頭上で月がくずれる
宵月冴音 (銀星亭〜Villa Argentee D'Etoile〜)
夕立のごとき逢瀬を駆け抜けて涼しき月が浮く水たまり
2012/03/25 | trackback(0) | comment(0)
感嘆符に満ちた青空スキップでどんどん増えていく四分音符kei (
シプレノート)
春を待ち焦がれている心理も手伝って、明るく弾むようなこの歌を一首選に。
この空は春というより初夏から夏頃っぽい。
晴れているだけでなく光り輝いている感じがする。感嘆符が満ちている青空、なんてすてき。そんな空を見ていたらスキップしたくもなるというもの。そしてスキップするたびどんどん増えていく四分音符。
音楽を奏でるとかそんなシャレたものじゃなくて、つい鼻歌歌っちゃう、そんなウキウキ感がとても好き。
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬称略
松木秀 (わたしよきみの風景であれ)
十六分音符のひとつひとつまで折り目正しきバッハの楽譜
jonny (迂闊な夜の真ん中で)
符合した欠片たちから水底に静かな場所をもとめて沈む
西中眞二郎 (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)
風に飛びし切符拾いて渡したる女と並び改札を出る
ジテンふみお (雲のない日は)
運命は音符どおりの大げさな音で乱入して去っていく
龍庵 (題詠blog2009 龍庵)
君といるそれだけでもう電線にとまった鳩が音符に見える
原田 町 (カトレア日記)
かんかんの夏日の中をわれらまた配給切符に群がる悪夢
冥亭 (《冥亭倶楽部》 the snow-ball planet)
酷暑日の畳みかけたる三連符 途切れてのちの盂蘭盆会かな
石畑由紀子 (裏デッサン。短歌・題詠マラソンを走っています。亀スピードで。)
ふっふーん 正解のない毎日に寄り添うように音符は歌う
みなと (海馬)
たいせつな切符を失くした夢それは(夢から戻るための切符で
月下燕 (a swallow under the moonlight)
「東京行き最終列車が発車します。切符がなくても飛び乗っちまえ」
本田鈴雨 (鈴雨日記)
ひと恋へばあらゆることが符号にて 回転扉はひとりで入る
近藤かすみ (気まぐれ徒然かすみ草)
改札を人より先に通りぬけ露払ひする切符いちまい
今泉洋子 (sironeko)
どこまでも続く刈田の電線に音符のやうな月のぼりゆく
bubbles-goto (BIBBLy HoUR)
懲役を終えて行く手を阻まれる どこへ消えたか切符切る人
ワンコ山田 (歩道を走る自転車のこども)
冒険の旅にでる朝最弱の免罪符としてカレーを煮込む
花夢 (花夢)
部屋じゅうに散らかっている感傷を音符の絵柄の靴下で踏む
青山みのり (わざとじゃないもん!)
いつまでもつづく話にアカペラの十六分音符のしおりはさみぬ
みち。 (滑空アルペジオ。)
五線譜に散らばる音符わたしから溢れるものがとても汚い
2012/03/25 | trackback(0) | comment(0)
活字にても訛は消せず青森の林檎の枝を揺さぶりやまず野州 (
易熱易冷〜ねっしやすくさめやすく、短歌編)
寺山修司へのオマージュとして読んだ。
林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき 寺山修司
寺山の俳句はどこかしら「寺山!」と思う。。それこそが個性なんだろう。
作者は、その隠せない個性を、やはり隠せなかった青森訛りに被せて、活字になっても寺山の俳句(或いは短歌)には青森訛り(=寺山!)が感じられる、と言っているのだと思う。
俳句でも短歌でも、寺山修司がきっかけで始めた人は多い。特に、短歌をやっていて寺山の短歌をひとつも知らない人っていない気がする。それがずっと続いている。すごい人だ。
作者も、少なからず寺山にインスパイアされたのではないだろうか。
(ワタクシは、俳句より短歌より先に競馬でした、テヘ^^;)
以下、お気楽選歌
作者名(作者ブログ名) 敬省略
中村あけ海 (庶務課中村が承りました)
クレームを本社に報告するときは訛り方までちゃんと再現
西中眞二郎 (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)
故郷近き町に入ればバスに乗る人の訛りの疎ましくもあり
菅野さやか (あの夏飛行機が落ちるまでずっと)
鼻先でふふんと笑うあなたにはフランス訛りは正義でしょうね
ひじり純子 (純情短歌)
今風の言葉を話す子らありて隠しおおせぬ訛愛らし
空音 (100の秘密)
遠くから私に逢いに来てくれた君の訛りがとても愛しい
理阿弥 (車止めピロー)
連結器のかこち言まで訛り帯び石勝線はトマムを過ぎる
新田瑛 (新田瑛のブログ2)
各地から訛りを乗せたトラックが来ては幾らかこぼして帰る
青野ことり (こ と り ご と )
あまりにも日常的で訛とは気づかなかった父のもの言い
富田林薫 (カツオくんは永遠の小学生。)
靴下を穿いた訛りの足跡がわすれてしまう東北の土
古屋賢一 (燦獣イチオン)
鋭利さで訛りを隠すまだ人を斬ったことのない刀であれば
きり (梢は歌う)
生活に訛のようなくせがあるそれが個性でいいんじゃないの
イノユキエ (十月堂)
大阪と京都の距離でもう違う鳩が鳴き声訛りつつ去る
瀬波麻人 (a swallow under the moonlight)
「見て、息が白い朝だよ」雪国の訛りをわずかに残すソプラノ
久野はすみ (ぺんぺん100%)
どこにいてもきみは旅びと東京の訛りが語尾をとらえてしまう
2012/03/17 | trackback(0) | comment(0)
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